2013 Fiscal Year Annual Research Report
多嚢胞性卵巣症候群発症メカニズム解明への神経学的アプローチ
Project/Area Number |
24790240
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Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
岩田 衣世 日本医科大学, 医学部, 助教 (00582991)
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Keywords | 多嚢胞性卵巣症候群 / キスペプチン / 生殖 / アンドロゲン / 黄体形成ホルモン / 脳 |
Research Abstract |
多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)は、卵胞発育や排卵がうまくいかないことにより、卵巣にたくさんの卵胞が存在する疾患で、無月経、生理不順、高アンドロゲン血症といった症状がみられ不妊につながることから、女性にとって重要な問題となっている。発症原因は未だ不明で、申請者は脳に異常があるのではないかと考え、排卵や卵胞発育の制御に大きく関わっていると考えられているキスペプチンニューロンに着目し、脳内のキスペプチンニューロンの発現についてPCOSモデルラットを作成し、検討を行った。PCOSモデルラットは、すでに論文で報告されている長期アンドロゲン曝露させた雌ラットを実験に使用した。PCOSモデルラットでは、卵胞発育に関わっている弓状核のキスペプチンニューロンの発現が低下しており、黄体形成ホルモン(LH)のパルス状分泌も低下していた。一方、排卵に関わっている前腹側室周囲核(AVPV)のキスペプチンニューロンと性腺刺激ホルモン放出ホルモン(GnRH)ニューロンに異常はみられなかったが、排卵を引き起こすきっかけとなるLHのサージ状分泌は抑制されていた。さらに、GnRHアゴニスト投与によるLHの放出が低下していたことから、下垂体でのGnRHに対する反応性が低下していることが明らかとなった。本実験により、雌の弓状核のキスペプチンニューロンにアンドロゲン受容体が発現していることが明らかとなり、弓状核のキスペプチンニューロンは直接アンドロゲンによって抑制され、その結果パルス状分泌が抑制され、卵胞発育に障害が生じたと考えられた。またアンドロゲンは下垂体に作用し、LHの放出低下を引き起こす可能性が示唆された。以上の本結果より、PCOSの特徴の一つである女性の高アンドロゲン血症状態において、アンドロゲンは弓状核のキスペプチンニューロンと下垂体に作用し、卵胞発育や排卵に影響を与える可能性が示唆された。
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Research Products
(3 results)