2012 Fiscal Year Research-status Report
痛みによる情動変化に対する側坐核内領域特異的ドパミン神経情報伝達の役割の解析
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24790245
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
井手 聡一郎 北海道大学, 薬学研究科(研究院), 助教 (30389118)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 痛み / 不快情動 / 抑うつ / 側坐核 / ドパミン / 嫌悪 / 行動薬理 |
Research Abstract |
痛みにより引き起こされる不安、嫌悪、抑うつなどの不快情動は、生活の質(QOL: Quality of life)を低下させ、精神疾患・情動障害の引き金ともなるため、情動的側面をも考慮した疼痛治療が求められている。そこで本研究では、痛みによる情動変化に対する側坐核内領域特異的ドパミン神経情報伝達の役割を明らかにすることを目的とし、in vivo microdialysis法、行動薬理試験と種々の薬物の脳内局所微量投与を組み合わせることで、快・不快といった情動の両方向性に深く関与すると考えられる側坐核の、痛みの情動的側面に対する役割について詳細な解析を行う。本年度は、SDラットを用い、痛み刺激として2%酢酸腹腔内投与した際の側坐核内ドパミン遊離量の変化を、吻側-尾側方向の位置を細分化しつつ、in vivo microdialysis法により検討した。側坐核Shell領域では、吻側領域でのみ痛み刺激負荷後30分をピークとした有意なドパミン遊離量の増加が確認された。一方、Shell尾側領域では有意ではないもののドパミン遊離の減少傾向が確認された。また、core領域に関しても同様に検討中であるが、吻側-尾側領域共にドパミン遊離量変化が見られないという結果を得つつある。また、免疫組織化学的手法により、痛み刺激負荷30分後における側坐核内CREBのリン酸化の解析を行ったが、側坐核Shell領域では、矢状切片内の吻側-尾側方向でのCREBリン酸化に差は見られなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでの研究により、痛みによる側坐核内ドパミン遊離に領域特異性が存在するという結果を得ている。これまでにcoreとshell領域間での違いは多く報告されているものの、shell内での領域特異性に関しては殆ど報告されておらず、新規性の高い知見が得られている。また、痛みによる側坐核shell領域内のCREBリン酸化において吻側-尾側方向に差が見られないという結果も得られた。当初の年次計画通りに研究成果は得られており、おおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、痛みによる側坐核内ドパミン遊離に関して領域特異性をin vivo microdialysis法を用いて検討するとともに、痛みによる情動変化に対する側坐核内領域特異的なドパミン遊離変化の役割を検討するために、ドパミン受容体サブタイプ選択的作用薬ならびに拮抗薬の側坐核内局所微量投与が、痛みによる不快情動(嫌悪・不安)生成に与える影響を、条件付け場所嫌悪試験ならびに高架式十字迷路試験を用いて検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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Research Products
(11 results)