2013 Fiscal Year Annual Research Report
メンブレン・トラフィック作用薬としてのバルプロ酸の分子機構の解明
Project/Area Number |
24790251
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
馬 艶 神戸大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (70457050)
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Keywords | バルプロ酸 / 薬物感受性 / 細胞膜輸送 |
Research Abstract |
バルプロ酸は、抗てんかん薬、抗躁薬として広く用いられ、抗がん薬の作用を増強することも知られている。近年、iPS細胞の作成過程でVPAを加えると、作製効率が100倍以上上昇すること、神経幹細胞移植とバルプロ酸の同時投与による脊髄損傷マウスの治癒することなどが報告されている。我々は、バルプロ酸の標的分子を分裂酵母モデル生物を用いて、分子遺伝学的研究を進め、本年度は以下の結果を得た。 分裂酵母のほぼすべての非必須遺伝子のノックアウトライブラリーの3004株を用いてゲノムワイドスクリーニングを行い、148株のバルプロ酸超感受性株を同定できた。これらの感受性遺伝子は細胞内輸送、核酸代謝、シグナル伝達、クロマチンリモデリングなど様々な生命現象に関わっている。興味深いことに、バルプロ酸超感受性株の多くはHDAC阻害剤である酪酸にもトリコスタチンにも感受性を示さなかった。バルプロ酸は細胞内へのカルシウムの流入を引き起こすが酪酸やトリコスタチンはカルシウムの流入を引き起こさなかった(Zhang et al. 2013)。これらの結果はバルプロ酸はHDAC阻害剤である一方、多くの分子標的を有する可能性を強く示唆している。
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Research Products
(15 results)