2014 Fiscal Year Annual Research Report
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24790268
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Research Institution | Doshisha Women's College of Liberal Arts |
Principal Investigator |
天ヶ瀬 葉子 同志社女子大学, 薬学部, 助教 (90550822)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 遺伝子 / 癌 / 診断 / シグナル伝達 / アポトーシス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、現在の癌早期の概念よりもさらに早い前癌状態での診断を可能にすること、安全な薬剤を開発する上で早期に発癌性の有無を見極められるようにすることを目的として行った。 ラットに肝臓癌を誘起させる発癌性物質を長期投与し飼育した。投与開始後早い時点からmRNAレベルでの発現が上昇するNADE、DR6について、前癌、発癌、死亡直前までの各段階で肝臓をサンプリングし、mRNAレベルでの発現を定量、さらにタンパク質レベルでの発現分布を検討した。NADEとDR6のmRNAの発現は同じ様に上昇したが、一方は発癌後に減少したのに対し他方は死亡直前まで上昇し続けた。また肝臓組織ではNADEとDR6の2つのタンパク質が共発現する細胞塊が散見された。 NADEとDR6が定常共発現するHEK293培養細胞株を作製し、NADEとDR6の2つのタンパク質の間に相互作用関係があるのかを検討した。この検討には、DR6の内在性リガンドとして知られるAPPのN末端タンパク質N-APP存在下、NADEとDR6の間でDuoLink法を用いて行った。コントロールとしてPBSを添加した場合と、N-APPを添加した場合とで相互作用に顕著な差が見られ、NADE、DR6、N-APPの相互作用が見られた。 これらの検討によりNADE、DR6、N-APPが発癌過程で相互作用し、発癌抑制・促進に影響を及ぼしている可能性が示唆された。NADEは発癌過程のかなり早い前癌段階から顕著な発現を始め、発癌過程を通じて特徴的な発現パターンを示すことから、薬物の発癌性を早期に検討する上で有用であり、前癌マーカーとしても有用性があることが示唆された。
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