2012 Fiscal Year Annual Research Report
血栓・炎症におけるLOX-1とホスファチジルセリンを介した細胞間接着機構の解明
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24790270
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Research Institution | National Cardiovascular Center Research Institute |
Principal Investigator |
高谷 智英 独立行政法人国立循環器病研究センター, 血管生理学部, 流動研究員 (00450883)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | LOX-1 / 細胞接着 / 血栓 / 炎症 |
Research Abstract |
血管内皮の酸化LDL受容体L0X-1は、ホスファチジルセリン(PS)とも結合し、細胞接着因子としても機能する。動派硬化性疾患では血栓・炎症が並列的に進行するが、同時に、LOX-1の発現上昇や血球のPS露出が生じる。LOX-1/PSを介した細胞接着と血栓・炎症の生体内での関わりを調べるため、これらの病態を模した動物実験を行った。 まず炎症時に生じる白血球の内皮上でのローリングおよび内皮への接着におけるL0X-1の役割を検討した。4週齢の野生型、LOX-1ノックアウト(L0X-1-KO)、およびLOX-1過剰発現(LOX-1-Tg)マウスにTNF-αを投与して炎症を惹起させ、腸間膜静脈における白血球のローリングおよび接着を共焦点顕微鏡を用いてリアルタイムで観察した。解析の結果、TNF-α投与群では白血球のローリング速度が野生型に比べてLOX-1-KOで速く、LOX-1-Tgで遅くなる傾向が認められた。また、LOX-1-KOでは野生型およびLOX-1-Tgに比べて白血球の接着数が減少した。これらの結果から、LOX-1が炎症性の内皮-白血球の接着を促進している可能性が示唆された。 次に、血栓形成におけるDOX-1の役割を検討した。8週齢の野生型およびDOX-1-KOにエンドトキシンLPSを投与して血液凝固・血栓形成を誘導した。LPS投与後2、4、6、8、12時間後の血液および臓器を解析した。野生型では、LPS投与2時間後にLOX-1 mRNAの発現量が10_2~10_3倍に著増した。野生型ではLPS投与時間依存的に、凝固マーカーであるトロンビンアンチトロンビン複合体の血中量が増加したがLOX-1-KOでは増加量が有意に抑制され、LOX-1が活性化血小板のPSを含む血液凝固系、特にプロトロンビナーゼ活性を亢進している可能性が示唆された。一方、肝臓の微小血栓を観察すると、予想とは逆に、LPS投与12時間後において、野生型に比べてLOX-1-KOで血栓数が有意に増加していた。 以上の結果から、LOX-1が生体内で炎症性細胞接着および血液凝固・血栓形成に関与していることが示されたが、そのPS依存性についてはまだ明らかになっておらず、さらなる検討が必要である。
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[Journal Article] Highly purified eicosapentaenoic Acid increases interleukin-10 levels of peripheral blood monocytes in obese patients with dyslipidemia.2012
Author(s)
Satoh-Asahara N, Shimatsu A, Sasaki Y, Nakaoka H, Himeno A, Tochiya M, Kono S, Takaya T, Ono K, Wada H, Suganami T, Hasegawa K, Ogawa Y.
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Journal Title
Diabetes Care
Volume: 35
Pages: 2631-2639
DOI
Peer Reviewed
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