2013 Fiscal Year Annual Research Report
老化血管内皮細胞の炎症亢進表現型におけるCDC42シグナルの解析
Project/Area Number |
24790272
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
伊藤 孝 千葉大学, 医学部附属病院, 特任助教 (20597124)
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Keywords | 慢性炎症 / 細胞老化 / 血管内皮細胞 / CDC42 / 動脈硬化 / 寿命 / 老化 |
Research Abstract |
昨年度まで、CDC42が老化血管内皮細胞における炎症関連遺伝子の誘導に重要であり、さらにはマウスの動脈硬化、線虫の寿命にも影響を及ぼす事が分かっていた。すなわち、CDC42が細胞老化により活性化され、炎症を誘導することで老化関連疾患や個体の寿命を制御することが分かっていた。 本年度は、CDC42が細胞老化自体を制御するのか、それとも細胞老化自体は制御せずに、炎症誘導にある程度特化した働きを持つのか詳細な検討を行った。ヒト培養老化細胞において、CDC42をRNAiで抑制しても、細胞老化の特徴である増殖の停止、肥大した形態への変化は見られなかった。またマウス動脈硬化モデルであるApoEノックアウトマウスにおいて、細胞老化マーカーであるp21, γH2AXの免疫染色を行ったところ、血管内皮細胞において強い発現が特異的に見られ、野生型マウスでは見られなかった。すなわち血管内皮細胞の細胞老化は疾患マウスにおいて増えることが支持された。Cre-loxPシステムによりApoEノックアウトマウスにおいて血管内皮細胞特異的にCDC42遺伝子を欠損しても、p21, γH2AXの発現は強く見られたままだった。すなわちこれらの結果より、CDC42は細胞老化自体を抑制するのではなく、炎症経路を特異的に抑制していることが示唆された。この結果が重要なのは、細胞老化自体はがん抑制のシグナルでもあり、それ自体を抑制することは、動脈硬化などの他の病態が抑制されても、がん増殖につながる可能性があるからである。 また線虫においてDNAマイクロアレイ解析を行った。変異体でCDC42経路を抑えると、発現パターンが野生型のものに近づくことが分かった。用いた変異体でCDC42系を抑えると寿命が回復するが、発現パターンも野生型に近くなることがわかった。将来このデータから老化疾患に寄与する遺伝子が抽出できる可能性がある。
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Research Products
(1 results)