2012 Fiscal Year Research-status Report
概日リズムの中枢である視交叉上核の位置決定と機能獲得のしくみ
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24790288
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
畠山 淳 熊本大学, 発生医学研究所, 助教 (90404350)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 国際研究者交流フランス / 視交叉上核 / 神経発生 / 神経幹細胞 |
Research Abstract |
本年度は、1.視交叉上核を構成するニューロンを産生する神経幹細胞が位置する場所、2.Dbx1が視交叉上核ニューロンを産生する神経幹細胞に発現していること、を明らかにし、3.Dbx1ノックアウトマウスにおける視交叉上核の形成について解析を行った。 視交叉上核のニューロンはマウスの胎生12日目から15日目に産生されることがわかっており、ホメオボックス型転写因子Dbx1は、間脳の最も腹側に位置する神経幹細胞において、この時期に一過的に発現している。Dbx1の遺伝子座にLacZを挿入したマウスのヘテロにおいて、Dbx1を発現したLacZ陽性細胞が胎生15日目にはLhx1陽性の視交叉上核になる領域に移動していた。このことから、Dbx1陽性の神経幹細胞は視交叉上核のニューロンを産生すること、視交叉上核のニューロンの一部は少なくとも、Dbx1を発現する領域の神経幹細胞から産生されることがわかった。次に、視交叉上核形成におけるDbx1の役割を調べるために、Dbx1ノックアウトマウスの解析を行った。視交叉上核が形成され、時計因子の発現が始まる頃の胎生18日目で解析を行った。その結果、視交叉上核のニューロンのうちRorα陽性のニューロンが少し減少していることを示唆するデータを得た。別のニューロン種は、大きな変化はなくむし増加している可能性を示唆するデータを得ている。このことから、Dbx1は視交叉上核のRorα陽性ニューロンの運命を決定することに関わっているのかもしれない。Dbx1ノックアウトマウスの解析は標本数が充分でないので、今後、標本数を増やして検討していく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
おおむね順調に進展しているが、申請書に元々書いていた因子についての解析が現時点では充分に行えていない。これは、解析実験の一部にトラブルが生じ、その解決に時間をとられたためである。その実験が遅れていた分、別の実験を並行して行った。トラブルに関してはほぼ解決したので、今後早急にその実験に取り組む。
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Strategy for Future Research Activity |
共同研究先においてDbx1ノックアウトマウス胚を充分数収集することができなかったため、今後、標本数を増やして検討していく。また、解析実験のトラブルのために実験が遅れていた以下の実験についても早急に行う。Dbx1の強制発現、Lhx1やRorαの機能阻害と強制発現をエレクトロポーレション法にて行い、視交叉上核の形成のメカニズムについて明らかにしていく予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度分の繰り越し分に関しては、実験に使用する妊娠マウスに約50万円、解析実験の消耗品に約18万円使用する予定である。
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Research Products
(4 results)