2012 Fiscal Year Research-status Report
エンドサイトーシスレセプターの発現と機能を制御するアダプター分子の機能解析
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24790293
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Research Institution | Seikei University |
Principal Investigator |
平野 真 成蹊大学, 理工学部, 助教 (60514172)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | エンドサイトーシス / メガリン / 細胞内輸送 |
Research Abstract |
腎臓におけるタンパク質の再吸収は、エンドサイトーシス受容体メガリンを中心的機能分子として制御されている。しかし、メガリンの発現や機能制御には、メガリンの細胞質領域で相互作用するアダプター分子が必須である。このようなアダプター分子が欠けると、エンドサイトーシス不全に陥り、やがて慢性腎不全となり、透析を余儀なくされる。研究代表者は、メガリンの発現、機能制御に必要な細胞質領域におけるタンパク質相互作用に着目し、質量分析を用い、アダプター分子の候補を新たに4種類のタンパク質 (A, L, N, S) を同定した。これらのうち、L, N, Sの3種類は、未だ明確な細胞内局在や生理機能が報告されていない分子である。 はじめに、メガリンの細胞質領域とアダプター候補分子との相互作用を検証するため、ビオチン化メガリン細胞質領域およびアダプター候補分子 (LまたはS) の3xFLAGタグ融合タンパク質をブタ近位尿細管細胞LLC-PK1細胞に共発現させ、ストレプトアビジンビーズによる共免疫沈降を行った。この際、C末端側に3xFLAGタグを含むアダプター候補分子よりもN末端側にタグを含む融合タンパク質として発現させた方が、L, Sいずれの場合も共沈する効率が高かった。このことから、いずれの相互作用分子も、よりC末端側に近い領域でメガリン細胞質領域と相互作用することが示唆された。 また、正常マウス腎臓におけるL, Sの発現と細胞内局在を検証するため、マウス腎臓のホモジェネートについて密度勾配遠心分離を行った。Lは初期エンドソーム、Sはリサイクリングエンドソームの含まれるフラクションに、それぞれメガリンとともに濃縮されるという結果が得られた。このことから、Lはメガリンの初期エンドソームへの輸送に、Sはリサイクリングエンドソームから細胞膜へのリサイクリングに関与する可能性が見出された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究開始年度である平成24年度に代表者は、当初、研究に必要な設備の整った研究所から有機合成を主体とする研究室に研究の場を移した。そのため、本研究の実施に必要な生化学的な実験設備・器具、細胞培養設備などを整える必要があった。当初、細胞培養は、片道2時間要する前所属の研究所に出入りさせて頂き、実施してきたが、大学における講義などを担当しながら、代表者自身で研究を推進することにも限界があった。そのため、当初の予定よりも達成度はやや遅れてしまっている。
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Strategy for Future Research Activity |
細胞培養設備については、現所属研究室の主宰者の協力を得て、昨年度末に整えることができた。一方、ライブセルイメージングに必要な共焦点顕微鏡を本学では所有しておらず、他の研究機関で使用させて頂く必要がある。そこで、前所属研究所よりも近傍の東大駒場キャンパス内の細胞生物学を基礎とする研究室にて、共焦点顕微鏡を使用させて頂く許可を得た。そのため、平成24年度よりも、円滑にイメージング技術を用いた研究が可能となると考えている。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度には、siRNAを用いたノックダウン実験を予定しており、幾つかのデザインでノックダウンの効果を比較する必要がある。そのため、平成24年度の助成金を繰り越し、より効率の良いsiRNAを得ようと考えている。
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