2014 Fiscal Year Annual Research Report
スフィンゴ糖脂質による腸管上皮細胞の消化吸収機能の制御メカニズム
Project/Area Number |
24790298
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Research Institution | Chubu University |
Principal Investigator |
田島 織絵 中部大学, 生命健康科学部, 准教授 (10362237)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 脂肪酸輸送体 |
Outline of Annual Research Achievements |
マウス腸管上皮細胞においては,離乳期を境に発現スフィンゴ糖脂質(GSLs)がダイナミックに変換されることが明らかにされているが,その生理的意義は不明である.本研究では糖鎖改変マウスを用いて腸管上皮細胞機能調節におけるGSLsの具体的な役割とその作用メカニズムを検討した. これまでの解析から,GM2/GD2合成酵素遺伝子およびGD3合成酵素遺伝子欠損(DKO)マウスの腸管上皮細胞ではGSL組成の変化に伴ってレクチンや脂肪酸輸送体のラフト局在が変化し,脂肪酸吸収能が低下することが明らかとなった.26年度は実験計画に従って,高脂肪食負荷実験を行ないin vivoでの脂質吸収能を検討した.野生型(WT)マウス,及び,DKOマウスを用いて15週間の高脂肪食負荷実験を実施した結果,WTマウスと同様に,DKOマウスにおいても高脂肪食負荷による体重増加は認められたが,その応答はWTマウスよりも遅延して現れることを示した.腸管上皮細胞における脂質輸送関連分子のmRNA発現変化を検討した結果,WTマウスでは高脂肪食負荷に伴って脂肪酸輸送体FAT/CD36の発現レベルが増大した.DKOマウスにおいては,高脂肪食負荷によってFAT/CD36に加えて脂肪酸輸送タンパク質FATP4や脂肪酸結合タンパク質FABP1,及びFABP2の発現レベルが増加したが,通常食ではこれらの分子の発現量はWTマウスに比べて低下していた.これらの結果から,腸管上皮細胞において,GSLsは食餌性脂質に対する感受性を調節することで脂質吸収を制御している可能性が考えられた. さらに,DKOマウスにおいては高脂肪食負荷による脂肪細胞の炎症反応や肝臓への脂肪蓄積がほとんど認められなかったことから,糖脂質糖鎖が高脂肪食負荷による炎症や脂肪肝の発症に関与するという新たな可能性も示された.
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