2012 Fiscal Year Research-status Report
活動依存的Ca2+シグナル系を介した小脳顆粒細胞発生・成熟機構の解明
Project/Area Number |
24790300
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Osaka Bioscience Institute |
Principal Investigator |
岡澤 慎 公益財団法人大阪バイオサイエンス研究所, その他部局等, 研究員 (40414130)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | カルシウムシグナル / 静止膜電位 / シグナル伝達 / 転写因子 |
Research Abstract |
神経系の発生・成熟に異常をきたすと発達障害をはじめさまざまな精神・神経疾患につながる。一方、神経発生期(細胞増殖、分化、細胞移動を意味する)とその後の成熟期における電気的性質は、ダイナミックに変化しさまざまなカルシウムシグナルの活性を制御しているにもかかわらず、神経回路形成における役割はいまだ不明な点が多い。そこで、本研究では申請者らのこれまでの研究を発展させ、分子生物学的視点だけでなく電気生理学的視点を組み込むことで、新しい視点から神経ネットワーク構築メカニズムを明らかにし、今後の神経発生・成熟の研究に新たな方向性を示す。申請者らは神経細胞の成熟という最終分化プログラムの活動依存的な神経細胞成熟のマスター因子として転写因子ETV1を同定した。 平成24年度は、Etv1の制御系を明らかにした。即ち、小脳顆粒細胞の初代培養系を用い、カルシウムシグナルの一つであるカルシウムカルモジュリン依存性キナーゼ、CaMKIIが小脳顆粒細胞の成熟に関与することを薬理学的に明らかにした。CaMKIIおよびCaMKIVのConstitutive active体を小脳顆粒細胞の初代培養系にエレクトロポーレーション法で導入すると、CaMKIV のConstitutive active体では成熟遺伝子の発現にほとんど影響がなかったのに対し、CaMKIIのConstitutive active体では成熟遺伝子の発現を促進することが明らかになった。さらに、培養細胞に発現させるとEtv1とCaMKIIが相互作用することが明らかになった。さらに、活動電位依存的に成熟遺伝子が発現するだけでなく、未成熟遺伝子の発現が抑制される事を明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の研究目的である、神経ネットワーク構築のメカニズムの解明について、独自の新事実を明らかにすることができた。これらの成果を元に今後の研究は更に展開できると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
成熟遺伝子の発現メカニズムにとどまらず、未成熟遺伝子の発現抑制のメカニズムも解析する。また、カルシウム濃度の変化の解析、また、カルシウムシグナル調節因子のsiRNAによる阻害実験、等予定通り本研究課題を推進するとともに、より視点を広げることで本研究課題を推進していく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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