2013 Fiscal Year Annual Research Report
SPAL-1の高次脳機能における役割と精神疾患の分子機構
Project/Area Number |
24790311
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
松浦 憲 東京大学, 分子細胞生物学研究所, 助教 (10625742)
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Keywords | 神経科学 |
Research Abstract |
SPAL-1はシナプス後肥厚に局在し、NMDA受容体およびPSD-95などと複合体を形成する、低分子量Gタンパク質Rapに特異的なGAPである。私たちはSPAL-1の生体内における生理機能解明を目指しSPAL-1ノックアウトマウスを作成、多角的な解析を行ってきた。これまでにSPAL-1の欠損が海馬CA3領域のシナプス可塑性の異常、および海馬依存的な学習の障害に繋がることを明らかにし、さらに自閉症様行動、てんかん感受性の増大を引き起こすなど、重大な予備的データを得たことから、本研究ではSPAL-1によるシナプス可塑性制御機構、およびヒト精神疾患様表現型における分子機構解明を目的とした。 研究計画では大きな柱としてSPAL-1と既知の結合因子を含むEphR/ephrinシグナルやNeurexin/Neuroliginシグナルとの相互作用の検証を掲げた。着目した相互作用因子に対する抗体の問題などもあり、単純な免疫染色や免疫沈降では網羅的な解析が難しい事が判明したため、計画を軌道修正し、マウス大脳皮質や海馬から架橋剤で複合体を固定した内在性SPAL-1を免疫沈降し、生理的結合因子をMS解析で分析する系を立ち上げこれに成功した。ここでSPAL-1欠損による表現型に寄与する可能性のある因子群として、エンドサイトーシス関連因子とNa+, K+-ATPaseのサブユニット群を同定した。その他にも、SPAL-1欠損によるグルタミン酸トランスポーターの発現減少など,重要でオリジナリティの高いデータが得られてきている。また、個体レベルの特性解析では、三室社会性テストで確かにKOマウスが自閉症様症状を示すこと、てんかん感受性試験では、抗てんかん薬スクリーニングで頻用されるGABARアンタゴニスト、PTZでも野生型では十分は痙攣発作が起きない低濃度投与でKOマウスは全身性の激しい痙攣を起こすことを明らかにした。
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