2012 Fiscal Year Research-status Report
ヒト膵癌に対する抗癌剤感受性制御腫瘍溶解性組換えワクシニアウイルスの開発
Project/Area Number |
24790315
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
橋本 泰司 広島大学, 病院, 病院助教 (50423380)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 膵癌 / 抗癌剤耐性 / Gemcitabine |
Research Abstract |
本研究は、ヒト固形がんの中で治癒切除が困難で高度抗癌剤耐性を示す膵癌に対して、腫瘍組織選択的に増幅し癌特異的に腫瘍崩壊を誘発するOncolytic poxvirusを輸送媒体(platform)に、抗癌剤(gemcitabine)感受性増強を目的にhuuman Equilibrative Nucleoside Transporter 1(hENT1)遺伝子を組み込んだ腫瘍溶解性組換えワクシニアウイルス(Oncolytic poxvirus)による新規遺伝子治療法を開発するためのトランスレーショナルな研究を行なうものである。平成24年度の研究実施計画では、膵癌標的薬剤感受性制御 腫瘍溶解性組換え Oncolytic poxvirusの構築のため、これまでの研究でクローニングした制限増殖型ウイルスベクターへの利用に適するプロモーター候補について、特に膵癌で過剰発現している新たなマーカーをGene Chip microarray法と定量RT-PCR法で探索した。膵癌細胞株に、複数の膵癌標的プロモーターの配列をルシ フェラーゼ発現ベクター(pGL4 4.10, Promega)にサブクローニング、膵癌細胞株にプラスミドDNAをトランスフェクションし、プロモーター活性を測定、次に膵癌細胞におけるminimal promoter領域を決定した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成24年度の研究時計画では、1、Flip-FlopHSV BACシステムを利用した組換えウイルス産生 2、FLP/FLP システムを利用した組換えウイルスの産生 3、Cre/LoxP 相同組換えとBAC plasmid HindIII digested fingerprint 4、FLP/FLP システムを利用した組換えウイルスの産生 5、組換えウイルス力価の測定 上記、5工程を終了する予定であったが、組み換えウイルスの産生に時間を要し、当初計画を達成できていない。平成25年度計画を組みなおし、本年度で研究達成できるように調整中である。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度計画に加え、以下の研究を予定している。1、導入遺伝子hENTの発現解析 Poxvirus-hENT コンストラクトのhENTタンパク質発現量を調査(抽出したウイルスタンパク質をanti-hENT monoclonal antibody (US Biological, Swampscott, MA)を用いたウエスタンブロット法によって検出。自然発生弱毒化ウイルス株と、作成した組換えウイルスのhENTタンパク質発現量を比較し、弱毒化株より組換えウイルスの方が高いウイルス増殖が見込まれるかを検討。2、組換えウイルスの増殖力と腫瘍細胞に対する細胞毒性の検討(in vitro) Virus Burst Assay MOI1.5で各株膵臓癌細胞株に弱毒化ウイルス株を感染させ、24時間後に感染細胞とウイルスを回収しウイルス力価を計算することによって、各細胞に対する組換えウイルスの増殖能力を計算する。また、フローサイトメトリー解析で細胞の状態を解析し、アポトーシスによる細胞致死率を算出する。galactosidase免疫染色によりウイルス感染について病理組織学的分析を行う。3、in vivo治療モデルとそのイメージング、ウイルス増殖効率の判定、Gemcitabineに対する抗癌剤感受性の検定。免疫不全マウスあるいはラットにインジェクションし、超微弱発光・蛍光イメージャーNightOWL NC (BETHOLD:本学動物実験施設)でin vivoイメージング下に腫瘍径の観察を行う。経時的に腫瘍サイズの変化と実験動物のprolonged survivalを調べ、組換えウイルスの殺腫瘍効果、Gemcitabine投与による腫瘍縮小効果について検討。ウイルスの腫瘍内での拡散程度を考察。β-gal免疫染色により治療前後、まhENTタンパクの局在との関連などについて病理学的に分析する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度の研究時計画では、組み換えウイルスの産生に時間を要し、当初24年度計画を終了しなかったため、繰越金として\1,200,000を計上した。平成25年度計画を組みなおし、前年度繰越金\1,200,000と併せ、平成25年度直接経費\2,200,000は、上記計画の実験試薬(ウイルスDNA精製試薬、細胞培養用培地・試薬、免疫染色用試薬・スライドグラス等、遺伝子導入試薬、蛍光イメージング用試薬、抗体試薬)、キット購入、実験用動物(ヌードラット・ヌードマウス)購入に充てる予定である。
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