2012 Fiscal Year Research-status Report
蛋白質ホメオスタシスの維持における熱ショック転写因子HSF4の役割
Project/Area Number |
24790316
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
高木 栄一 山口大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (50525590)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | ストレス応答 |
Research Abstract |
本研究課題では、新規に同定されたHSF4と相互作用のある蛋白質(#7)がHSF4の翻訳後修飾と転写活性制御をどのように調節しているかを検討し、HSF4-蛋白質(#7)複合体の機能を明らかにする。 HSF4のリン酸化部位を同定するために、さまざまな領域を欠損させた変異型HSF4を作製し、HSF4のリン酸化を含む領域を絞り込んだ。更に、絞り込んだ領域内においてリン酸化されると推定されるセリン/スレオニン残基のアラニン置換による点変異HSF4を作製し、HSP70プロモーターを用いたレポーターアッセイを行った。点変異HSF4のみを発現させた細胞ではS298Aを除いてHSF4の転写活性にほとんど影響は見られなかったが、蛋白質(#7)と共発現させた細胞では、いくつかの点変異HSF4の転写活性が野生型HSF4にくらべて低くなる傾向がみられた。蛋白質(#7)はその機能が未知で、酵素活性を持つ領域は構造上存在していない。そこで、Flag標識した蛋白質(#7)をHEK293細胞に発現させ、蛋白質(#7)と共沈降したところ、4種類のキナーゼを同定した。 これらの結果から、蛋白質(#7)は、HSF4のリン酸化を介した転写活性制御に関わることが示唆された。また、蛋白質(#7)は、足場蛋白質としてHSF4のキナーゼによるリン酸化制御を行っている可能性が示唆された。当研究成果を、第35回日本分子生物学会年会においてポスターで発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の実験計画に従って研究を遂行できている。 HSF4と蛋白質(#7)の相互作用の解析については、両蛋白質が互いに結合している部位をかなり絞り込むことができた。HSF4のリン酸化部位の解析については、当初予定していた変異型HSF4はすべて作成解析を行い、これまでに報告されていない新規のHSF4リン酸化部位を同定することができた。マイクロアレイ解析については、HSF4遺伝子のノックダウンしたMEF細胞の解析が終了し、複数の標的遺伝子を同定した。以上の経過から、当研究課題はおおむね順調に進んでいるいえる。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度に引き続き、新規に同定されたHSF4と相互作用のある蛋白質(#7)がHSF4の翻訳後修飾と転写活性制御をどのように調節しているかを検討し、HSF4-蛋白質(#7)複合体の機能を明らかにする。同時に、shRNAにより蛋白質(#7)或いはHSF4遺伝子をノックダウンしたヒトおよびマウス細胞系を用いてDNAマイクロアレイを行い、蛋白質(#7)とHSF4に共通な標的遺伝子群を同定する。これらの遺伝子の発現ベクターを作成し、ポリグルタミン凝集体形成の抑制活性を指標とした機能スクリーニングを行う。同定された遺伝子の機能解析を行うことで、新しい蛋白質ホメオスタシスの経路について検討する。さらに、蛋白質(#7)とHSF4の複合体が、この経路を制御することでコンフォメーション病の病態を改善するかを細胞とマウスのモデルで検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
マイクロアレイ解析消耗品費、ChIP解析消耗品費、生化学的実験用試薬・消耗品費、細胞培養用試薬・消耗品費、学会の旅費として使用する。
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