2013 Fiscal Year Annual Research Report
緑内障に関連する遺伝子砂漠領域のリシークエンス解析による発症機序の解明
Project/Area Number |
24790323
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
中野 正和 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (70381944)
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Keywords | 分子病態学 / ゲノムワイド関連解析 / バリアント / 次世代シーケンサー / 遺伝子発現調節 / 緑内障 |
Research Abstract |
我々が実施したゲノムワイド関連解析(GWAS)によって、原発開放隅角緑内障(POAG)に関連するバリアント(SNP)が9p21に存在するCDKN2B-AS1上から同定された(Nakanoら, PLoS ONE, 2012)。しかし、本領域は遺伝子砂漠でありCDKN2B-AS1もノンコーディング遺伝子であることから、これらのSNPが調節配列上にあり遠隔遺伝子の発現に影響を与えていることが示唆された。従って、本領域をリシークエンスし、潜在する調節配列とその標的遺伝子を同定することはPOAGの発症機序を解明する上で重要である。一方、POAGの病態解明には9p21の精査だけでは不十分である。そこで本研究では、GWASの結果に基づきリシークエンスすべき候補領域を抽出する手法の検討を行った。 まず、GWASによって取得したSNPの統計学的有意差(P値)を基準にSNPを選択し(P<10-5; 135個)、これらのSNPが150kb以内に連続して3個存在する領域を特定した。更に、互いに連鎖するSNPの範囲を規定する連鎖不平衡情報を参照して領域の範囲を決定した。その結果、9p21を含む10個の候補領域を取得できた。しかし、本法ではSNPどうしの連鎖不平衡状態が弱い場合には範囲の規定が難しい上に、複数の候補領域の優先順位を決める客観的指標に乏しい。そこで我々独自の抽出方法として、データマイニングで用いられている主成分分析(PCA)の応用を試みた。SNPデータを数値変換することによって正規化した後にPCAに供し、因子負荷量(主成分と元の変数との間の相関係数に相当)を基準として分類した結果、相関係数が0.90を越える6領域が抽出され、かつその範囲が明確に規定された。以上の結果から、PCAを応用することによってGWASの結果に基づく疾患関連候補領域を抽出する客観的かつ効率的な手法が確立できたと考えられる。
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