2012 Fiscal Year Research-status Report
骨格筋を起点とした分泌因子による組織間クロストークの解明
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24790330
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Fujita Health University |
Principal Investigator |
中谷 直史 藤田保健衛生大学, 総合医科学研究所, 助教 (00421264)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | マイオスタチン / 筋肥大 / 肥満 |
Research Abstract |
本研究は、骨格筋を起点とした分泌因子による組織間クロストークについて明らかにすることを目標としている。これまでの研究で、筋形成抑制因子であるマイオスタチンの阻害により骨格筋形成が促進され筋肥大を示すマウスの作製に成功している。申請者は、骨格筋肥大マウスの全身での組織変化に注目し、骨格筋を起点とした分泌因子の作用に注目し研究を進めている。これまでの研究結果から、作製した筋肥大マウスにおいて、脂肪組織の増加、高脂肪食摂食時における脂肪肝の抑制を確認している。今回新たに、筋肥大マウスにおける骨量の変化について解析を行った。筋肥大マウスの大腿骨遠位部の骨形態を小動物用マイクロCT解析、薄切組織標本を作製しHE染色による形態観察により解析を行った。その結果、大腿骨遠位部において海綿骨量の増加が確認された。この結果から骨格筋量の増加による骨組織の形態変化が示唆された。脂肪組織、肥満時の肝臓の変化に加えて、骨組織においても骨格筋量の増加による影響が見られたことから、新たに骨組織についても骨格筋量との関わりについて解析を進めていく予定である。血清中分泌因子のスクリーニングについて、主要血清成分除去カラムを用いた血清サンプルの粗精製について、さらに条件検討を行った。主要血清成分除去カラムの使用にあたり、これまでの方法では主要血清成分の溶出が不十分で、繰り返しカラムを使用すると主要血清成分の分離能の低下が見られた。主要血清成分の分離条件を変更することでこの問題を解決することが出来た。平成25年度に変更したプロトコールで血清精製を行い血清プロテオミクス(iTRAQ)による血清成分分泌因子のスクリーニングを行なう。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
筋肥大マウスを用いた組織変化を捉えるための実験系の構築は整いつつある。脂肪組織と肝臓は分子変動(RNA、たんばく質)、組織形態を解析する実験系が整い、新しく注目した骨組織においても、小動物用マイクロCT装置を用いた骨の経時変化の観察が可能になり、個体解析に有効な実験系が整いつつある。また、当初予定していた、In vivoエレクトロポレーション法を用いた遺伝子導入法は、骨格筋筋線維において導入したGFPの発現をで確認することは出来たが、血清中で確認することが出来なかった。下肢の前頚骨筋と大腿筋でのエレクトロポレーション法による遺伝子導入では、血清中で確認できる量を発現させるのは困難であった。骨格筋分泌因子のスクリーニング後の変動分子のIn vivo解析は、過剰発現マウスを作製し解析を行なう。また、一番の問題点として骨格筋増加マウスの繁殖がうまくいかず、解析用マウスが準備できないという問題が生じた。これについては、飼育環境の変更、交配のやり直しを行なった結果、ある程度改善された。実験計画に新たにIn vivoでの血清成分因子の作用を解析するため、Parabiosis(同体結合実験)の実験系の確立を行った。筋肥大マウスと野生型マウス間で血液を行き来させることにより、筋肥大マウスの血清成分が他臓器へ及ぼす影響を、野生型マウスを解析することで血清成分の作用を調べる。この実験方法を用いて骨格筋肥大による影響を組織レベルで確認する予定である。当初の実験計画に変更点もあるが、新しい解析、実験系の導入など、おおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度に行う予定をしていた、血清プロテオミクス解析(iTRAQ)を血清精製の条件検討を行なっていたため実施することが出来なかった。平成25年度に改良したサンプル精製法を用いて行う予定である。また、新しく導入したParabiosisの実験系を用いて、骨格筋肥大マウスにおける血清因子の作用を個体レベルで明らかにする予定である。初年度は動物施設の工事による影響で動物の交配がうまくいかず、実験動物の準備に時間を要してしまった。本年度は、交配の規模を大きくし、安定して実験動物が得られるように研究を進める。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度の研究費の使用計画として、消耗品(試薬、プラスチック類)、マウス飼育費用(エサ、床敷費用)、成果発表(論文校正費用、学会参加費等)に使用する予定である。
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Research Products
(2 results)