2013 Fiscal Year Annual Research Report
SIK3シグナルを介した免疫調節機構の解明と新規抗炎症物質の探索
Project/Area Number |
24790333
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Research Institution | 独立行政法人医薬基盤研究所 |
Principal Investigator |
佐野坂 真人 独立行政法人医薬基盤研究所, 創薬基盤研究部, 特任研究員 (30510515)
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Keywords | 分子病態学 |
Research Abstract |
近年では炎症とエネルギー代謝制御の接点が注目されている。細胞内のエネルギー状態を感知するAMPKファミリーに属する塩誘導性キナーゼ(SIK)のうち、特に3番目のアイソフォームSIK3のKOマウスは肝障害を誘発し、肝障害に伴って炎症性分子の発現が亢進していた。そこで、本研究において新たな炎症制御法を開拓することを目的に、SIK3-KOのマクロファージを単離し、その特性を解明し、SIK2において成功しているシグナル制御のための低分子スクリーニングを行った。RAW264.7細胞をLPSで刺激したところ、SIK3の発現はLPS濃度依存的また刺激時間依存的に増加した。RAW264.7細胞にSIK3を強制発現させたところ、LPS刺激によってIL-6等の特定のmRNA発現が対照区と比べて低下した。SIK3-KOマウスより採取した腹腔マクロファージでは、野生型マクロファージと比べて、SIK3強制発現で低下したmRNA発現が上昇していた。以上より、SIK3が、特にマクロファージにおけるLPS応答遺伝子の発現を制御していることが示され、SIK3が新規の炎症制御因子であることが示唆された。さらに、生体内でのLPS感受性をSIK3-KOマウスで検討したところ、SIK3-KOマウスはLPS投与後2日で全ての個体が死亡した。これらのことから、SIK3の機能はサイトカイン遺伝子発現の誘導抑制にあると結論した。 最後に、SIK3機能制御を目的に、低分子化合物のスクリーニングを行った。その結果、プテロシンはSIK3シグナルのみを修飾することが示唆された。本研究から、SIK3が炎症時に誘導され、炎症抑制に機能することが明らかとなった。今後は、SIK3活性化・不活性化のシグナル状態を研究し、新たな炎症制御法の開発を進めていきたい。
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Research Products
(2 results)