2013 Fiscal Year Annual Research Report
高精度蛍光ナノ計測を用いた乳癌遅発性再発と乳癌幹細胞の相関性の解明
Project/Area Number |
24790344
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
多田 寛 東北大学, 大学病院, 講師 (50436127)
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Keywords | 乳癌 / 癌幹細胞 |
Research Abstract |
乳房温存療法後の局所再発は5%程度に認められ、5年以降の遅発性再発も散見する。そこで、乳房温存療法後の局所再発を同一臓器内での再発モデルとして用い、原発巣での乳癌幹細胞マーカーと局所遅発性再発に関連があるかどうかの検討を行った。東北大学病院で乳房温存療法を施行した前期[前期(1990-1996年)85例、後期(1997-2007)527例、計613例(平均観察期間は前期245ヶ月、後期125ヶ月)を対象とし、バイオロジーと遅発性再発の関連について検討した。 結果、照射群の率は前期47.1%、後期64.1%。照射、非照射両群の乳房内再発率は、前期で10.% vs 2.2%、後期で4.1%vs 5.3%。初発・再発巣でのER・HER2の一致率は、81%と76%。再発後5年遠隔無再発生存率は前期照射群vs非照射群で、75%vs100%、後期照射群vs非照射群で86% vs 100%。7例(照射群3例、非照射群4例)に再温存手術が行い、非照射群1例に遠隔再発を認めた。初回手術時検体において、乳癌幹細胞系マーカーであるALDH1とMDR-1と予後との相関は認められず(ALDH1: p=0.56, MDR-1: p=0.57)、また遅発性再発との関連も認められなかった。以上について、 第75回日本臨床外科学会シンポジウムで発表した。 通常の免疫染色であるDAB法は、温度や基質量、反応時間に影響を受けるため蛋白量の定量化は困難であり、蛍光物質を用いた蛍光免疫染色の法が、定量的に優れている。しかしQuantum dotを用いた蛍光免疫染色は定量化には優れるが、自家蛍光の影響やnon-specific bindingなどの問題があることを、第113回日本外科学会定期学術集会パネルディスカッションで発表した。 パラフィン包埋病理組織切片での1粒子観察には、有機系蛍光色素を内包した蛍光ナノ粒子を用いることで、自家蛍光の影響を受けず、また一粒子解析による高感度定量化が行える可能性について、第11回日本臨床腫瘍学会学術集会で報告した。
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