2012 Fiscal Year Research-status Report
大腸癌におけるCD169陽性マクロファージの病理学的意義の解明
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24790353
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
大西 紘二 熊本大学, 生命科学研究部, 助教 (40613378)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | マクロファージ / CD169 / がん免疫 / 所属リンパ節 / 大腸がん / Tリンパ球 |
Research Abstract |
本研究は、大腸癌の所属リンパ節のCD169陽性マクロファージ(Mφ)がM1 Mφの機能、即ちリンパ球活性化を介した抗腫瘍作用をもつのかどうか解析し、大腸癌の予後マーカーとしての有用性を明らかにすることが目的である。この方針に従い、以下の解析を行った。 まずはCD169がM1 Mφのマーカー分子になりうるのかどうか検討するため、ヒトMφを用いて培養実験を行った。InterferonやLPSで刺激したM1 MφではCD169の発現が強く誘導されるのに対し、IL-4やIL-10で刺激したM2 MφではCD169発現は誘導されなかった。即ち、CD169はM1 Mφを識別する有用なマーカー分子の1つである可能性が示唆された。 次に所属リンパ節のCD169陽性Mφと83例の大腸癌症例の臨床予後との相関を解析した。興味深いことにリンパ節中のCD169陽性Mφ数は症例毎に大きく異なり、CD169陽性Mφが多い症例では少ない症例と比較して全生存率が有意に良好であった(Log-rank p = 0.0092)。さらに多変量解析を行った結果、汎MφマーカーであるCD68陽性Mφ数に対するCD169陽性Mφ数の割合(CD169陽性率)は大腸癌の独立した予後因子となることを明らかにした(p = 0.027)。CD169陽性Mφはリンパ節洞内でCD43(CD169のリガンド)を発現するCD8陽性Tリンパ球と直接接触しており、さらにCD169陽性率と腫瘍組織内へのCD8陽性Tリンパ球の浸潤数は正の相関性を示した。即ち、所属リンパ節のCD169陽性Mφは主にCD8陽性Tリンパ球を介した腫瘍免疫を活性化している可能性が示唆され、大腸癌の予後マーカーとして有用であると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度の計画である大腸癌と所属リンパ節の組織を対象とした免疫組織学的解析、臨床予後との相関解析は予定通り年度内に完了出来た。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画通り、CD169陽性MφとTリンパ球活性化の相互関係について詳細に解析するため、培養実験を行う計画である。また腫瘍移植モデルによる動物実験を計画している。 大腸癌以外の腫瘍についても、同様の解析を進めていく予定としている。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
上記の研究方針に従い、マクロファージやリンパ球の調整試薬、培養実験に必要な各種試薬やCD169発現を検討するための抗体の調達に本研究費を使用する計画である。また動物実験も進めていくため、実験用マウスの購入費や飼育費、免疫染色やPCR法などに必要な各種試薬の購入費として、本研究費を使用する予定である。
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Research Products
(3 results)