2013 Fiscal Year Annual Research Report
静脈血栓塞栓症におけるフォンウィルブランド因子とADAMTS-13の役割
Project/Area Number |
24790354
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
盛口 清香 宮崎大学, 医学部, 助教 (90468041)
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Keywords | 血栓症 / 静脈血栓 |
Research Abstract |
静脈血栓塞栓症は静脈に形成された血栓が剥離して流され、肺動脈を閉塞することで発症する重篤な循環障害である。静脈血栓の形成には血激凝固系の因子が重要であると考えられている。一方、臨床研究で静脈血栓塞栓症の予防に抗血小板薬の有効性が示されているが、静脈血栓に血小板がどの程度存在しどのように関与するのか明確ではない。本研究では、血小板の機能発現に重要なフォンウイルブランド因子(von Willebrand factor: VWF)とその制御蛋白に注目して検討を行った。 ①深部静脈血栓症症例の病理組織標本を用いてVWF、A disintegrin and metalloprotease with a thrombospondin type 1-motif-13(ADAMTS-13)、血小板、組織因子、凝固VIII因子、フィブリンの局在・発現を免疫組織化学的手法で検討した。静脈血栓形成部には、フィブリンに加えて、血小板、VWF、FVIIIが多く存在した。一方、ADAMTS-13や組織因子は極わずかであった。 ②健常人から採取した血液に抗VWF抗体、抗ADAMTS-13抗体、抗FVIII抗体(中和抗体)を添加し、大腿静脈レベルの血流速度に設定した血流フローチャンバー上で灌流し、血小板粘着凝集の早期過程をリアルタイムで解析した。抗FVIII抗体は血小板の粘着凝集を減少させたが、VWF、ADAMTS-13の関与は明確ではなかった。 ③家兎頚静脈血栓モデルにおいて、凝固VIII因子は静脈血栓サイズを促進し、血小板・フィブリンの陽性面積を増大させること、VWFは血小板粘着よりもFVIIIの供給に重要であることを確認した。 今後、家兎静脈血栓モデルにてADAMTS-13の中和抗体を用いた実験を予定している。
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