2012 Fiscal Year Research-status Report
リンパ脈管筋腫症におけるHIF-1αの発現とmTOR、VEGF-Dへの関与
Project/Area Number |
24790363
|
Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
林 大久生 順天堂大学, 医学部, 助教 (70569128)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
|
Keywords | 人体病理 |
Research Abstract |
リンパ脈管筋腫症(LAM)は、TSC遺伝子変異によりmTORシグナル伝達系が恒常的に活性化した結果生じる腫瘍細胞であり、リンパ管増殖因子であるVEGF-Dの発現を特徴とする。LAM細胞では、HIF-1αの発現量がVEGF-Dの発現を制御しているとの仮説のもと、LAM細胞のphospho-S6(mTORシグナル伝達系下流蛋白), VEGF-D及びHIF-1αの発現を免疫組織科学的に検討した。材料は重症LAM患者の移植肺組織、ホルマリン固定・パラフィン包埋材料10例及び部分切除肺組織、ホルマリン固定・パラフィン包埋材料1例。結果は、phospho-S6, VEGF-Dの発現を全症例で認めたが、全症例でHIF-1αは弱陽性を示すLAM細胞が5%未満にみられるのみであった。血管新生を来す腫瘍細胞と異なり、LAMでは、VEGF-Dの発現及びリンパ管新生を介した腫瘍進展にHIF-1αの果たす役割は限られていると考えられた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
当初の仮説である「LAM細胞では、HIF-1αの発現量がVEGF-Dの発現を制御している」を支持する結果が得られなかった。HIF-1αの染色性に関しては、ホルマリン固定・パラフィン包埋肺腺癌組織を対象症例として高発現像を確認しており、LAM細胞がHIF-1α高発現を示す可能性は低いと考えられる。LAMの病因とされるTSC遺伝子変異及びmTORC1の恒常的活性化はCyclinD1, p27, PLK1, β-catenin, MMP7, SREBP, PKM2の発現にも関与していると考えられているが、mTORC1の恒常的活性化とVEGF-D発現及びそれに伴うリンパ管新生との関連は不明のままである。また、プロテオーム解析を行い、対象例とした肺腺癌では、galectin-4がリンパ節転移関連蛋白である可能性を示唆する結果が得られたが、LAM細胞での高発現は現在まで明らかではない。
|
Strategy for Future Research Activity |
重症LAM患者の移植肺組織、ホルマリン固定・パラフィン包埋材料追加13例でHIF-1αの発現の有無を免疫組織科学的に検討する。 また、LAMは肺胞領域を侵し、びまん性肺嚢胞を来す疾患と知られているが、本研究において重症LAM患者肺標本を免疫組織学的に検討する過程で、重症LAM患者では、肺胞破壊に加え、気道領域における高度リンパ管新生及び慢性炎症病変が高頻度に存在する事が今回の研究過程で明らかになりつつある。今後はLAM細胞におけるHIF-1αの発現に加え、LAM気道病変の病理組織学的検討を追加していく。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
免疫組織化学: mTOR関連蛋白、VEGF-D, HIF-1αの各抗体を用いた免疫染色を施行し、病理標本上でのLAM細胞の各蛋白発現に関し検討する。 論文発表、学会発表。
|
Research Products
(2 results)