2012 Fiscal Year Research-status Report
腫瘍塞栓性肺微小血管障害(PTTM)における血行動態ならびに背景因子の解明
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24790364
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Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
大久保 陽一郎 東邦大学, 医学部, 助教 (40516267)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | PTTM / 胃癌 / 血行動態 / 腫瘍塞栓 / 肺動脈 |
Research Abstract |
Pulmonary tumor thrombotic microangiopathy (PTTM)は肺動脈の腫瘍塞栓、内膜肥厚、フィブリン血栓を特徴とする肺動脈腫瘍塞栓症の重篤な特殊型であり、その予後は極めて不良である。 本研究はPTTMの病態解明を目的としており、研究代表者らは東邦大学医療センター大森病院で保管する剖検例を対象とし、胃癌に由来する肺動脈腫瘍塞栓症例の集積を試みた (東邦大学医学部 倫理委員会承認済、承認番号: 23002、課題名: 剖検例を用いた肺腫瘍塞栓性微小血管(PTTM)における血行動態の解析)。 その結果、胃癌に由来する肺動脈腫瘍塞栓症例を53症例集積することに成功し、その内PTTM症例は24症例であった。さらに、本例がどのように血行動態へ影響するか明らかにすべく、渉猟し得た53症例の右心室厚を計測し、PTTM症例では有意に右心室が厚くなることを明らかとした。 今後は肺動脈に対する二次元形態学的解析ならびに3DマイクロX線CTによる病変分布の立体的な解析を行い、肺動脈病変に由来する血行動態の詳細な変化ならびに病態情報の明確化を試み、本症の早期診断ならびに治療法確立に貢献したい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度はpulmonary tumor thrombotic microangiopathy (PTTM)症例を含めた胃癌に由来する肺動脈腫瘍塞栓症例を53症例集積し得た。この結果は当初の計画以上の症例集積数である。さらに、右心系の血行動態に対する客観的指標として右心室厚を用いて計測したところ、PTTM症例では有意に右心室厚が厚くなる事が判明し、これまでに報告の無いPTTMと血行動態の関係の一端を明らかにすることができた。 一方、当初予定されていた肺動脈の二次元形態学的解析 (肺動脈内径ならびに狭窄率の測定)に関しては渉猟し得た症例の約1/4の達成に留まっており、免疫組織学的解析ならびに3DマイクロX線CTによる病変分布の立体的な解析に関しては十分なデータが得られていない。 今後は得られた結果を基に肺動脈病変に由来する血行動態の詳細な変化ならびに病態情報の明確化を試みるが、総じて予定計画年数の半分が経過した時点の達成度としてはおおむね順調であることから、上記達成度とした。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度はPTTM症例を含めた胃癌に由来する肺動脈腫瘍塞栓症例を53症例集積し、当初の計画以上の症例集積に成功した。しかしながら、肺動脈に対する二次元形態学的解析が十分でないこと、免疫組織学的検索ならびに3DマイクロX線CTによる病変分布の立体的な解析に関しては十分なデータが得られていないことから、今後これらの解析に着手する。 尚、平成24年度は当該研究をテーマとした研究成果の発表に対して、本研究費ではなく所属機関 (東邦大学)の補助金や講座研究費を活用することが可能であったため、当初予定していた人件費、旅費、その他の項目について支出することなく研究遂行することが可能であった。 平成25年度は最終年度であることから、科学研究費補助金の使用ルールを遵守した上で、引き続き必要項目に対して弾力的な研究費の使用を予定しているが、特に病理組織学的解析ならびに研究成果報告に対する支出 (物品費、学会報告費、旅費、印刷費、論文掲載費等)を予定している。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度は当初の計画以上の症例を集積し得た。そのため、これらの症例に対する解析に必要な画像解析ソフト、免疫組織学的解析に必要な消耗品 (一次抗体、スライドガラス、反応試薬等)、計測機器など物品費を主体とした研究費の使用が予想される。 また、平成25年度は最終年度であることから、平成24年度以上に学会報告あるいは学術論文への研究成果報告に努める所存であり、これらの成果報告に必要な経費 (旅費、ポスター印刷代、論文掲載費等)に対する使用も予定している。
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Research Products
(5 results)
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[Journal Article] Histopathological evaluation of the efficacy of antifungals for experimental Trichosporon bloodstream infection.2013
Author(s)
Sasai D, Okubo Y, Ishiwatari T, Sugita T, Kaneko T, Murayama SY, Shimamura T, Shinozaki M, Hasegawa C, Mitsuda A, Tochigi N, Wakayama M, Nemoto T, Shibuya K
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Journal Title
Japanese Journal of Infectious Diseases
Volume: 66
Pages: 133-139
Peer Reviewed
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[Journal Article] Development of a peptide nucleic acid probe to Trichosporon species and identification of trichosporonosis by use of in situ hybridization in formalin-fixed and paraffin-embedded (FFPE) sections.2013
Author(s)
Shinozaki M, Okubo Y, Sasai D, Nakayama H, Murayama SY, Ide T, Wakayama M, Ishiwatari T, Tochigi N, Nemoto T, Shibuya K.
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Journal Title
Journal of Clinical Microbiology
Volume: 51
Pages: 295-258
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] Gene expression analysis of a murine model with pulmonary vascular remodeling compared to end-stage IPAH lungs.2012
Author(s)
Shimodaira K, Okubo Y, Ochiai E, Nakayama H, Katano H, Wakayama M, Shinozaki M, Ishiwatari T, Sasai D, Tochigi N, Nemoto T, Saji T, Kamei K, Shibuya K
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Journal Title
Respiratory Research
Volume: 13
Pages: 103
DOI
Peer Reviewed
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