2012 Fiscal Year Research-status Report
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24790371
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Research Institution | National Center for Geriatrics and Gerontology |
Principal Investigator |
松岡 和彦 独立行政法人国立長寿医療研究センター, 運動器疾患, 研究員 (00581365)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | カップリング |
Research Abstract |
本研究は、骨リモデリングにおける吸収と形成を連携するメカニズム(カップリング機構)に着目し、吸収と形成をつなぐ因子(カップリング因子)として破骨細胞から分泌される分子を同定し、その機能を解析することにより、カップリング機構の解明を目的とする。 平成24年度の実施目標は、骨細胞由来のカップリング因子を精製しその機能を解析するため、①破骨細胞培養上清をマウス骨芽細胞に添加し、ALP活性を指標として種々のカラムクロマトグラフィーによる活性画分の分離・濃縮、②質量分析装置(MS/MS)を用いて因子の同定、③さらに同定したタンパク質についてin vitroの系にて機能解析を行うことである。 ①に関しては、破骨細胞の培養上清1Lを出発材料とし、ALP活性を指標として因子を精製し、約1000倍の比活性の濃縮に成功した。②において、最終精製画分を解析した結果、複数の因子が同定された。このうち、破骨細胞の分化段階におけるマイクロアレイのデータを利用して因子を選別し、最終的に補体成分C3に着目した。 ③in vitroの系にて機能解析を行った結果、C3は破骨細胞の分化に伴って遺伝子発現が上昇し、qRT-PCRでもその発現上昇が確認された。またELISAにより破骨細胞の培養液中にC3aが検出された。さらにC3aレセプターアンタゴニスト存在下において、ALPの上昇は抑えられ、またC3aを強制発現させると骨芽細胞の分化マーカーの上昇が確認された。 C3が分泌タンパクであること、分化により遺伝子発現の上昇と破骨細胞培養上清中においてC3aが検出されたこと、またC3aが骨芽細胞分化を促進することを考慮すると、C3aは破骨細胞が分化に伴い産生して、骨芽細胞に働きかけるカップリング因子である可能性が高い。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
カップリング因子のコンセプトは、破骨細胞が産生する骨芽細胞の骨形成を誘導する因子である。当該年度の目標は①因子の精製、②因子の同定および③in vitroにおける機能解析であるが、実際得られた結果として、培養液中からC3を同定し、その機能がin vitroにおいて確認されたことから、おおむね計画通りであるといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
(I)これまでの結果から、C3がin vivoでも骨代謝に関与する可能性があることから、 トランスジェニック、破骨細胞特異的KOマウスを作製して骨組織解析を行う予定である。また、(I)が困難な場合は病態モデルを用いてC3の機能解析を行う。モデルとしては、閉経後骨粗鬆症の一般的モデルであるOVX(卵巣摘出)マウスや、RANKL投与による吸収上昇モデルを用いる予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
in vivoの実験が主であることから、マウス実験に多くが費やされることが予想される。マウスの購入や作製、および試薬に使用する予定である。
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Research Products
(1 results)