2013 Fiscal Year Annual Research Report
胎盤でのNKG2Dリガンド発現の生理的意義と疾患への関与の解明
Project/Area Number |
24790373
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
大塚 紀幸 北海道大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (00447046)
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Keywords | NKG2Dリガンド / 胎盤 / uNK |
Research Abstract |
平成25年度は、前年度に続いて、NKG2Dリガンド-受容体間結合が胎盤形成と胎児発育に与える影響を評価するため、着床時点(妊娠4日目)から3日毎にNKG2D阻害抗体(250 μg)腹腔内投与を施行し、胎盤形成への影響を妊娠6日目、12日目、18日目の3点で評価した。 妊娠6日目においてトロホブラスト領域と血管領域の狭小化、妊娠12日目でも胎盤のサイズ縮小が認められ、NKG2Dシステムが胎盤形成に寄与していることが確認された。妊娠末期に相当する18日目においては、産仔(胎盤・胎児)数、胎盤重量、胎児重量について、対照群との差異は見られなかった。 NKG2Dシステムは、妊娠全期としては何らかの代償があり、胎児の発育に大きな影響を与えないと考えられる。ものの、少なくとも妊娠中期までの胎盤形成に影響を与えることが確認された。加えて、妊娠18日目においてjunctional zoneに相当するトロホブラストの分布に乱れが認められた。これらの成因として、NKG2Dシステムを介したuterine NK細胞のサイトカイン産生能への影響と、それに伴う胎盤血管網の形成不全が最も考えられることから検討を進めた。 妊娠6.5日目時点においてはuNK細胞によるサイトカイン産生(IFN-γ, VEGF)に減少傾向が見られたものの、有意差は認められなかった。uNK細胞の集積がピークに達する妊娠10日目におけるサイトカイン発現とメカニズムについて、追加検討の施行が今後必要である。 胎盤形成と妊娠維持において、NKG2Dシステムの関与は胎児発育にcriticalとは言えないものの、胎盤の形成に影響を与えることが確認された。すなわち、低出生体重や胎盤形成にかかわるヒト疾患において関与することが考えられる。今後引き続いての検討とメカニズムの解明が望まれる。
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Research Products
(4 results)