2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24790382
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
藤下 晃章 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (50511870)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | マウスモデル / 大腸がん |
Research Abstract |
マウス大腸がんにおけるmTORC1経路の活性化状態の確認 Apc/Smad4マウスの腸管正常部および腸がん組織を摘出しウェスタンブロット法を用いてmTORC1経路に関わるタンパクのリン酸化状態を確認した。ここではmTORC1経路の基質であるS6リボソームタンパクのリン酸化をmTORC1経路活性化の指標とし、検討を行った。腸正常部と比較してポリープ(がん組織を含む)でS6タンパクのリン酸化が増加していた。同時にmTORC1阻害薬を投与したサンプルで検討したところS6タンパクのリン酸化の上昇は認められなかった。つまり腸管がん組織においてmTORC1経路が活性化していることを示している。また免疫染色法により、大腸がん組織におけるmTORC1経路活性化細胞を同定したところポリープ管腔側の腫瘍上皮細胞がリン酸化S6タンパク陽性であったのに対し浸潤先端の腺がん細胞では陰性である事を確認した。以上の結果はmTORC1経路が大腸がんの拡大には促進的に働くが、浸潤に対しては影響を与えない可能性を示唆している。 大腸がんの形成、浸潤・転移におけるmTORC1経路の役割を解明 mTORC1経路の大腸がんに与える影響を検討するため、mTORC1阻害薬をApc/Smad4マウスに6週齢から14週齢までの8週間投与し、ポリープの形成数と大きさ、および浸潤の度合いをプラセボ投与群と比較した。mTORC1阻害薬投与群でポリープ形成数に有意な差は認められなかったが、直径1.5mm以上の大きいポリープは有意に減少していた。この事から大腸がんの拡大にはmTORC1経路が重要な働きをしている事を示している。一方、浸潤の度合いに関しては阻害薬投与群で抑制傾向が認められたが、大きなポリープが少ないため、浸潤を測定する対象が十分得られていない可能性がある。従って次年度は大きなポリープが出来る週齢から解析する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
平成24年度に計画した1)大腸がんにおけるmTORC1経路の活性化状態の確認、2) 大腸がんの形成、浸潤・転移におけるmTORC1経路の役割を解明は、上述の研究実績の概要で記載しきれない分も含め全て達成している。現在、平成25年度分並びに、新たに必要となった実験も含めて、平成24年度中にある程度進められている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度は、現在計画している大腸がんのmTORC1経路の活性化機構の解明については既にSMAD4発現抑制細胞を樹立しておりこの細胞におけるmTORC1経路の活性化状況を確認、並びにmTORC1阻害剤を用いて、細胞の増殖や成長、浸潤に与える影響を検討する。 一方Apc/Smad4マウスにおける、大腸がん浸潤のmTORC1経路の役割を平成24年度以上に検討するため投与時期の延期(平成24年度で行った6~14週齢に対し、平成25年度では12週齢から20週齢まで行い、浸潤しているポリープが多い状況でmTOR阻害薬の確認する)、並びに生存期間の延長を検討する。また最近では、より強力にmTORC1経路を抑制し、さらにmTORC2経路も抑制できるmTORキナーゼ阻害薬AZD8055が入手可能である。現在このmTORキナーゼ阻害薬AZD8055を入手し予備検討を行っている。その結果、Apc/Smad4マウスの腸管正常部並びに腫瘍組織でのmTORC1経路に加えmTORC2経路の活性化も抑制できている事を確認した。今後このmTORキナーゼ阻害薬AZD8055がApc/Smad4マウスのポリープ形成および浸潤にmTORC1阻害薬と比べどのように影響を与えるかを検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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Research Products
(2 results)