2013 Fiscal Year Annual Research Report
多発性硬化症を抑制するILー10産生B細胞の同定とその抑制メカニズムの解明
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24790384
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
松本 真典 大阪大学, 免疫学フロンティア研究センター, 特任助教 (50542106)
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Keywords | plasmablasts / IL-10 / 脳脊髄炎 / 多発性硬化症 |
Research Abstract |
これまで多発性硬化症のマウス実験モデルである脳脊髄炎の抑制には、B細胞からの抑制性サイトカインIL-10の産生が必須であることが明らかにされている。しかしながら、脳脊髄炎を抑制するIL-10産生B細胞がどのB細胞集団であり、どのようなメカニズムを介して脳脊髄炎を抑制しているかは不明なままであった。そこで、脳脊髄炎を抑制するIL-10産生B細胞を同定するために、IL-10レポーターマウスに脳脊髄炎を誘発させたところ、所属リンパ節に局在するplasmablastsがIL-10を特異的に発現していることが明らかとなった。実際、plasmablastsを欠損するマウスを作製して脳脊髄炎を誘発させると脳脊髄炎の悪化が観察された。樹状細胞は脳脊髄炎の悪化を引き起こすエフェクターT細胞(Th17やTh1細胞)への分化を誘導する。そこで、plasmablastsが産生するIL-10が樹状細胞の機能を抑制するかを明らかにするために、plasmablastsの培養上清下でリンパ節由来の樹状細胞をナイーブT細胞と共培養したところ、エフェクターT細胞への分化が抑制された。さらに、in vitroでToll様受容体を刺激して分化誘導させたplasmablastsを用いてIL-10産生メカニズムを検討した結果、Irf4と呼ばれる転写因子がplasmablastsによるIL-10の産生に必須の役割を果たすことが明らかとなった。以上の結果から、plasmablastsは脳脊髄炎を抑制する主要なIL-10産生B細胞として機能することが強く示唆された。今後、ヒトにおいてもplasmablastsが主要なIL-10産生B細胞であるかを解明することは、多発性硬化症に対する新たな治療法の開発に繋がり、その意義は大きいものと考えられる。
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