2013 Fiscal Year Research-status Report
ASPL-TFE3標的分子の同定による胞巣状軟部肉腫分子病態の解析
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24790387
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
石黒 尚子 鳥取大学, 医学部, 助教 (50346350)
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Keywords | 腫瘍 / 軟部腫瘍 / 病態解析 |
Research Abstract |
本研究課題は、胞巣状軟部肉腫特異的融合遺伝子であるASPL-TFE3が転写因子として機能する点に着目し、ASPL-TFE3がその標的遺伝子の転写制御を介して腫瘍細胞に与える生物学的影響を解明することを計画している。本年度は、ASPL-TFE3標的遺伝子の同定を目指して以下の実験を実施し、結果を得た。 1、ASPL-TFE3発現プラスミド(FLAGタグを有する)を培養細胞株にトランスフェクトし、抗FLAG抗体を用いて免疫沈降を行った。そして、これまでの研究により予想されている標的遺伝子候補群のプロモーター領域に対するプライマーで増幅、検出を行った(クロマチン免疫沈降法)。その結果、ASPL-TFE3が結合すると考えらえるプロモーター領域を有する遺伝子(標的遺伝子)2個を単離した。 2、単離した標的遺伝子が実際にASPL-TFE3による転写制御を受けるか解析を行った。標的遺伝子のプロモーター領域をレポータープラスミドとして培養細胞にトランスフェクトし、ルシフェラーゼアッセイにより転写活性能を検討した。その結果、本研究課題で単離した2個の標的遺伝子プロモーターは、ASPL-TFE3によりコントロールと比較して転写活性が数倍程度上昇することが証明された。 以上より、本年度の研究成果としてASPL-TFE3標的遺伝子2個を同定した。さらに、同定したこれら標的遺伝子に対しASPL-TFE3が転写制御活性を有していることを証明した。次年度以降は、本年度に単離した標的遺伝子がその下流シグナルや腫瘍細胞の生物学的動態に及ぼす影響について検討する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度はASPL-TFE3標的遺伝子の同定を目指して研究を行い、2個の標的遺伝子候補を単離した。さらに、単離した標的遺伝子は実際にASPL-TFE3融合遺伝子により転写制御を受けることを証明しており、ほぼ当初の計画通りに進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の結果をもとに、今後は単離した標的遺伝子がその下流シグナルや腫瘍細胞の生物学的動態に及ぼす影響について解析する予定である。 次年度は、ASPL-TFE3の導入により同定した標的遺伝子の発現がmRNAレベルおよび蛋白質レベルで変化するか、リアルタイムPCR法ならびにウエスタンブロット法で検討する。さらに、標的遺伝子の下流シグナルの活性を包括的に検討するため、目的とする細胞内シグナル伝達系に関連した一次抗体が数十種類スポットされている市販の抗体アレイを用い、下流シグナル蛋白質の発現およびリン酸化の有無を網羅的に解析する予定である。
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