2016 Fiscal Year Research-status Report
ASPL-TFE3標的分子の同定による胞巣状軟部肉腫分子病態の解析
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24790387
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
石黒 尚子 鳥取大学, 医学部, 助教 (50346350)
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Project Period (FY) |
2013-02-01 – 2018-03-31
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Keywords | 軟部腫瘍 / 融合遺伝子 / 病態解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度までに、胞巣状軟部肉腫特異的融合遺伝子であるASPL-TFE3が標的遺伝子を介して細胞老化誘導に関与するという、当初予想していなかった新たな知見を得ることができた。細胞老化は癌抑制機構として知られているが、近年では癌化の促進にも寄与することが報告されており、腫瘍病態への関与が予想された。そこで本年度は当初の計画を変更し、ASPL-TFE3による細胞老化誘導が腫瘍細胞に及ぼす生物学的影響を中心に解析を行った。 間葉系幹細胞を用いたASPL-TFE3安定発現細胞株(UE7T/TR-AT細胞株)ではASPL-TFE3の発現により、p21の発現上昇ならびに、老化細胞に特徴的なSA-β-Gal活性の顕著な上昇が認められた。一方、293細胞を用いたASPL-TFE3安定発現細胞株(293/TR-AT細胞株)では、ASPL-TFE3の発現によりp21発現は上昇したが、SA-β-Gal活性に変化は認められなかった。したがって、ASPL-TFE3は細胞背景依存的に細胞老化を誘導することが示された。さらに、UE7T/TR-AT細胞ではASPL-TFE3発現により、IL1やIL6、IL8など複数の炎症性サイトカインの発現が上昇しており、細胞老化関連分泌形質(SASP)と呼ばれるがん化の促進につながる現象が誘導されていることが示唆された。 前年度までに同定したASPL-TFE3標的遺伝子が、腫瘍細胞の運動能に与える影響について検討を行った。ASPL-TFE3陽性細胞FU-UR1に標的遺伝子のsiRNAを導入し、migration assayを行ったところ、FU-UR1細胞の運動能が抑制されることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究課題の進展にともない、ASPL-TFE3融合遺伝子が細胞老化を誘導するという当初予想していたかった新たな知見を得ることができた。この知見を使用し、十分な研究成果を得るため、当初の研究計画を見直す必要が生じた。その準備や調整、実験条件の設定などに時間を要し、研究の進捗がやや遅れたことから、補助事業期間を延長した。
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Strategy for Future Research Activity |
ASPL-TFE3が標的遺伝子を介して腫瘍細胞の運動能を促進する可能性が示唆されたことから、標的遺伝子ならびに下流シグナル因子に対する阻害剤が腫瘍細胞の運動能に与える影響について解析を行う予定である。さらに、胞巣状軟部肉腫の臨床症例における標的遺伝子の発現を免疫組織化学的に解析し、悪性度などとの相関について検討する。
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Causes of Carryover |
研究計画の進捗にやや遅れが生じ、平成28年度に実施予定の実験の一部行うことができなかったことから消耗品の購入費が抑えられたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
研究計画を完了させるための消耗品の購入ならびに、研究成果を学術雑誌に投稿する際の英文校正や雑誌投稿料に支出する予定である。
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Research Products
(1 results)