2013 Fiscal Year Annual Research Report
幹細胞の上皮分化過程におけるクローディン-6シグナルの機能
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24790390
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Research Institution | Fukushima Medical University |
Principal Investigator |
冨川 直樹 福島県立医科大学, 医学部, 講師 (80468587)
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Keywords | 幹細胞 / 上皮分化 / タイト結合 |
Research Abstract |
タイト結合分子クローディン-6をF9幹細胞やマウスES細胞に発現させた結果、クローディン-6は他のタイト結合分子や微絨毛構成分子の発現を誘導し、成熟した上皮細胞へ分化させることを明らかにした。また、クローディン-6を細胞間接着部位から除外できる食中毒菌Clostridium perfringens の腸毒素(CPE)のC末ペプチド(C-CPE)を作製し、クローディン-6発現F9幹細胞、マウスES細胞に添加した結果、C-CPEによってクローディン-6による上皮分化が顕著に阻害されることが分かった。このことから、クローディン-6の細胞間接着部位への局在が上皮分化誘導に重要であることが示唆された。これらの成果は、論文にて発表した(Sugimoto, Tomikawa et al., Plos One, 2013)。 次に、様々クローディン-6変異体を発現するF9幹細胞株を樹立した結果、細胞外EC2ドメインとC末端細胞質内ドメインが上皮分化誘導に重要であることが分かった。更に、C末端細胞質内ドメインに存在する4つのチロシン残基のアラニン置換体発現F9幹細胞株を樹立した結果、196番目と200番目のチロシン残基が上皮分化誘導に重要であることが示唆された。 クローディン-6の上皮分化誘導シグナルにSrc-family kinase(SFK)が関与しているのではないかと考え、SFKの特異的な活性化阻害剤を用いたところ、クローディン-6による上皮分化が顕著に阻害された。また、クローディン-6発現F9幹細胞やマウスES細胞では、SFKの活性化が顕著に更新することが明らかとなった。更に、活性化SFKはクローディン-6と相互作用することや、上皮分化を誘導しない上記クローディン-6変異体では活性化SFKとの相互作用が減少することから、クローディン-6はSFKと相互作用し、196番目と200番目のチロシン残基がリン酸化されることで上皮分化シグナルを惹起していることが示唆された。
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