2012 Fiscal Year Research-status Report
多能性維持転写因子NACC1による細胞増殖制御機構の解明
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24790391
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Research Institution | Iwate Medical University |
Principal Investigator |
葛西 秋宅 岩手医科大学, 医学部, ポストドクター (20609664)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | NACC1 / 腫瘍悪性化 |
Research Abstract |
ヒト乳癌由来細胞株MCF-7においてタグを融合したNACC1タンパク質を高発現する細胞を樹立し、インタラクトーム解析を行いNACC1と相互作用するタンパクのリストを作成した。細胞増殖の制御に関わるPLK1(Polo-like kinase 1)がNACC1と相互作用し、M期特異的にNACC1をリン酸化することを見出した。 また、NACC1ノックダウンによる細胞増殖の抑制が用いたsiRNAのオフターゲット効果によるものであることが判明したため、複数のNACC1 siRNAを用いて乳癌および卵巣癌細胞株においてNACC1ノックダウンによって細胞増殖が抑制される細胞株をスクリーニングした。乳癌および卵巣癌細胞株でNACC1ノックダウンにより細胞増殖が抑制された細胞株についてはさらにタグを融合したNACC1タンパク質を発現する細胞を作製中である。また、NACC1により発現量が変化する分子のスクリーニングから、CXCR4および変異p53(R280K)の発現がNACC1依存的である事を見出した。NACC1と相互作用するタンパクおよび核酸の網羅的解析を進め、NACC1によって制御される下流シグナルの解明を目指す。 NACC1過剰発現が様々な腫瘍の術後再発や予後不良に関わるという示唆があるものの、その分子機構については不明な点が多い。本研究でNACC1の下流のシグナル経路を明らかにすることが出来れば、NACC1発現量を指標にして効率的な術後治療を選択できると期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
NACC1 siRNAを複数用いMCF-7細胞の増殖抑制効果を確認したところ、これまで用いていたsiRNAの効果がオフターゲット効果によるものである事が判明し、材料とする癌細胞株のスクリーニングし直した。その結果、NACC1ノックダウンによって細胞増殖が抑制される複数の細胞株を用いて解析を進め、当初標的と考えていたCHD8およびCyclin D1への影響は見られなかったものの、CXCR4および変異p53がNACC1によって制御されている下流の分子である可能性が新たに見出された。 NACC1と相互作用するタンパクおよび核酸の網羅的解析についてはMCF-7細胞の解析から解析方法が確立しており、解析装置(LC/MS/MSおよび次世代シーケンサー)も使用可能な状態であり、当初の研究計画通りに進めることができると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、ウィスルベクターを用い、タグを融合したNACC1遺伝子を複数の乳癌および卵巣癌由来細胞株に導入し、NACC1タンパク高発現株を作成している。発現を確認後、タグに対する抗体でNACC1および相互作用する因子群(タンパク質およびDNA、RNA)を精製し、タンパクについてはLC/MS/MSで同定し、インタラクト-ムのリストを作成する。DNAおよびRNAについてはBioanalyzerで定量し、可能であれば次世代シーケンサーにより網羅的に解析する。これらのインタラクトーム、ChIP、RNA-IPの解析結果から、CXCR4および変異p53の制御に関わるシグナル経路を優先的に分子制御機構を解析する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度の実験計画を進めるため、培養用試薬、抗体、リアルタイムPCR試薬、プロテオミクスおよび次世代シーケンサーの試薬に使用するほか、必要に応じてDNA構築およびレポータージーンアッセイなどの試薬を使用する。材料および標的分子に変更があるものの、必要な試薬に関しては実験計画に大幅な変更はない。
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Research Products
(6 results)
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[Journal Article] Transcriptional and post-transcriptional regulation of βIII-tubulin protein expression in relation with cell cycle-dependent regulation of tumor cells.2012
Author(s)
Shibazaki M, Maesawa C, Akasaka K, Kasai S, Yasuhira S, Kanno K, Nakayama I, Sugiyama T, Wakabayasi G, Masuda T, Mori N.
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Journal Title
Int J Oncol
Volume: 40
Pages: 695-702
DOI
Peer Reviewed
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