2013 Fiscal Year Annual Research Report
Ly49Q介在性免疫応答とシャペロン介在性オートファジーとの時空間的クロストーク
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24790396
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Research Institution | 独立行政法人国立国際医療研究センター |
Principal Investigator |
田中 将志 独立行政法人国立国際医療研究センター, その他部局等, 研究員 (60381167)
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Keywords | 炎症 |
Research Abstract |
本研究では、炎症担当細胞において組織浸潤やサイトカイン産生を制御する抑制性レセプターLy49Qと、細胞内ホメオスタシス維持を担うタンパク質分解系であるオートファジーとの相互作用を明らかにすることで、炎症応答におけるオートファジーの役割を理解することを目的とした。Ly49Q有無におけるオートファジー関連タンパク質の発現量を解析した結果、定常状態においてLy49Q陰性マクロファージでは陽性マクロファージに比してLAMP-2A発現量が高く、LAMP-2Aの発現量はオートファジー活性と相関することから、Ly49Q陰性マクロファージではオートファジー活性が亢進している可能性が示唆された。さらに、オートファジー関連カテプシン(カテプシンD等)に関しても、Ly49Q陰性マクロファージにおいて、成熟型の量が増大する傾向が見られ、Ly49Q欠損によりオートファジー活性が上昇することが示唆された。また、活性酸素産生に関わる酵素群の発現量の違いを解析し、さらに、炎症性刺激物であるCpGオリゴヌクレオチド等に対する炎症性・抗炎症性サイトカインの産生プロファイルは、Ly49Qの有無で異なるだけでなく、当該刺激物と、エンドソーム、ライソソーム、オートファジー小胞それぞれとの共局在kineticsやLAMP輸送も影響を受けることを示唆する結果を得た。LPS刺激に対しても、Ly49Q陰性マクロファージでは、炎症性サイトカイン産生能の低下(IL-6、MCP-1、TNF-α)やシグナル分子p38やErk等のLPS刺激後のリン酸化の早期減弱を認めている。したがって、Ly49Q欠損を起因としてオルガネラの輸送制御や恒常性維持機構が障害されるとともに、オートファジーの異常な高活性化が誘導され、その結果TLR4シグナリングが障害されることが示唆された。
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