2012 Fiscal Year Research-status Report
CD8T細胞によるマラリア赤内期感染防御機構の解明
Project/Area Number |
24790399
|
Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
今井 孝 群馬大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (10513434)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
|
Keywords | マラリア / CD8T細胞 / 防御免疫 / 赤芽球 |
Research Abstract |
本研究においてはマウスマラリアモデルを用いて、赤内期マラリアに対するCD8T細胞の感染防御機構を細胞あるいは分子レベルで明らかにすることを目的としている。 近年ヒトマラリア原虫が赤血球の前駆細胞である赤芽球にも寄生することが報告された。しかし赤芽球への原虫感染の意義やげっ歯類における原虫寄生赤芽球の有無については不明である。そこでマウスにおいても赤芽球に原虫が寄生しCD8T細胞がそれを認識し活性化するのではないかと作業仮説をたてた。この検証のためマウスマラリア原虫であるPlasmodium yoeliiに緑色蛍光たんぱく質(GFP)と卵白アルブミン(OVA)を発現する組換えマラリア原虫(PyNL-GFP-OVA)を作製した。 マウスを原虫寄生赤血球にて感染させ、骨髄および脾臓を回収したところ原虫寄生赤芽球の存在がフローサイトメトリーおよび蛍光顕微鏡下で確認された。成熟した赤血球は例外的にMHCクラスI分子を発現しないが、赤芽球は感染、非感染を問わず同分子を発現していた。CD8T細胞は標的細胞のMHCクラスIとペプチドの複合体を認識して活性化する。赤芽球がCD8T細胞の標的となる可能性を検討するため、OVAペプチドを認識するT細胞レセプターをもつCD8T細胞とPyNL-GFP-OVA寄生赤芽球を共培養したところ、抗原特異的なIFN-γの産生が認められた。また、既に報告されているように樹状細胞による抗原特異的なCD8T細胞の応答も確認された。これらの結果よりマラリア感染時にCD8T細胞は原虫寄生赤芽球および樹状細胞を認識し活性化することが示唆された。原虫寄生赤芽球が腫瘍細胞などと同様にCD8T細胞に攻撃されるのかどうかについては今後の検討課題である。 この成果はScientific Reports 3,Article number:1572に発表した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本年度は、組み替えマラリア原虫の作製を目標にしていたが、順調に作製できた。さらに、この組み替え原虫をもちいた実験により研究成果をあげることができ学術誌に掲載することができたからである。
|
Strategy for Future Research Activity |
1.CD8T細胞が認識し標的とする細胞の同定。原虫が赤芽球に寄生することを明らかにしたので、この細胞がCD8T細胞の攻撃対象になりえるのかを検証する。 2.防御に寄与するCD8T細胞由来の分子群の解析。標的細胞殺滅に関わる分子群の関与。防御に寄与する分子としてIFN-gammaについては報告をした。本研究においては、CD8T細胞の本来の機能である細胞傷害に係る分子について検討を行う。CD8T細胞による細胞傷害には2つの経路がある。1つは顆粒放出依存性でありパーフォリンやグランザイムが関与する。もう一つは細胞接触依存性のFasとFasLの関与する経路である。これらの分子のノックアウトマウス、あるいは遺伝子変異マウスにマラリア原虫を感染させ抵抗性を観察することで細胞傷害性分子の重要性を評価する。 3.赤内期マラリアに対するCD8T細胞の感染防御機構について得られた研究成果をまとめ、論文を投稿する。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当該研究費が生じたのは、購入しようとしていた試薬が製造中止になったためである。 翌年度以降に請求する研究費と合わせた使用計画は次の通りである。 物品費90万円旅費30万円その他208,401円 計1408401円
|
Research Products
(6 results)
-
-
[Journal Article] Resistance to Malaria by Enhanced Phagocytosis of Erythrocytes in LMP7-deficient Mice.2013
Author(s)
Duan X, Imai T, Chou B, Tu L, Himeno K, Suzue K, Hirai M, Taniguchi T, Okada H, Shimokawa C, Hisaeda H.
-
Journal Title
PLoS One
Volume: 2013;8(3):e59633.
Pages: 1-9
DOI
Peer Reviewed
-
-
-
-