2013 Fiscal Year Annual Research Report
住血吸虫性肝障害発症プロセスにおける、肝臓特異的免疫細胞の機能解析
Project/Area Number |
24790402
|
Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
安達 圭志 山口大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (40598611)
|
Keywords | 肝臓 / T細胞 / 住血吸虫 / サイトカイン |
Research Abstract |
研究期間の2年間で、マンソン住血吸虫感染マウスモデルを用いて、住血吸虫症の主体をなす肝障害の発症機構を明らかにし、病態重篤化防御への基礎的知見を得ることを目指した。 平成24年度は、感染後の初期Th1優位期と後期Th2優位期の間のフェーズ移行期に、血清中IL-18濃度が上昇し、非常にユニークなサイトカイン産生能を有するCD4陽性T細胞、すなわち、IFN-γとIL-13、IFN-γとIL-4、あるいは、IFN-γ、IL-13、IL-4、3つのサイトカインを同時に産生する細胞が、肝臓特異的に誘導されることを発見した。 平成25年度は、上記の成果を踏まえ、ユニークな肝T細胞集団の増殖因子、細胞表面マーカーや転写因子等を詳細に検討した。 その結果、1) IL-18が増殖に深く関わっていること、2) 感染初期から、肝臓内ではIL-18が高いレベルで産生されていること、3) ユニークな肝T細胞にはIL-18レセプターが発現しており、直接IL-18が作用する可能性があること、4) iNKT cellsあるいはFollicular helper T cellsとは別種の細胞集団から構成されていること、5) 特異なサイトカイン産生能を示すある種のγδT細胞やNKT細胞において、特徴的に発現している転写因子PLZFの役割は、この肝T細胞集団においては小さいこと、6) 従来、細胞内で同時には発現しないと考えられてきたTh1系サイトカインの産生を支配する転写因子T-betと、Th2系サイトカインの産生を支配する転写因子GATA3が、ユニークな肝T細胞内では共存していること、等を明らかにした。 上記のような特徴を持つT細胞はこれまで報告がなされておらず、新たなT細胞サブセットの発見である可能性がある。これは、住血吸虫症の理解を深めるのみならず、免疫学的、T細胞生物学的に重要な意義を有している。
|