2012 Fiscal Year Annual Research Report
細菌外毒素Cholix toxinの新規受容体の同定と毒性発現における役割
Project/Area Number |
24790409
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
小倉 康平 千葉大学, 大学院・医学研究院, 特任研究員 (00586612)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | Cholix toxin / TNF-α |
Research Abstract |
コレラ菌由来Cholix toxin(本毒素)は」タンパク質伸長因子EF2をADP-リボシル化することである種のタンパク質の合成を阻害する毒素である。本年度は、本毒素が誘導する腫瘍壊死因子(INFα産生誘導とそれに伴う細胞致死の亢進について解析した。本毒素を各種ヒト細胞殊に作用させたところ、子宮上皮由来(HeLa)細胞ならびに肝細胞(HepG2)細胞内では作用後12-18時間でのTNF-αmRNAが顕著に誘導されることをRT-PCRならびに定量PCRにより見出した。一方その他(腸管上皮由来・単球由来)の細胞株では、mRNA量に変化は見られなかった。このことから本毒素は、ある種の細胞特異的に炎症性サイトカインを誘導させる可能性が考えられた。次に、TNF-αmRNAの誘導が見られたHepG2細胞に対して、本毒素とTNF-αを同時に作用させた。その結果、本毒素のみの作用と比較して、細胞死が大幅に亢進されていた。その細胞内では、ヒストン結合タンパク質HMGB1の細胞外への放出によるネクローシスならびに炎症性カスパーゼを起点とするアポトーシスといった、二つの細胞死機構が同時に誘導されていた。HepG2細胞へのTNF-αのみの作用は、生存シグナルを活性化させるが、本毒素はTNF受容体複合体が示す細胞生存機構を破綻させることで、致死シグナルの増強を引き起こすことが明らかとなった。これまで本毒素は、細胞の恒常性に関わるタンパク質を合成することのみが報告されていたが、本研究により、サイトカイン感受性に関わる受容体内タンパクとなることが明らかになった。以上の研究から、本毒素が示すTNF-αの産生誘導ならびにTNF-α感受性破綻の両機構が、毒性発現において重要な役割をもつことが示唆された。
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