2013 Fiscal Year Annual Research Report
病原真菌アスペルギルスフミガタスの環境応答シグナル伝達系と病原性解析
Project/Area Number |
24790410
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
萩原 大祐 千葉大学, 真菌医学研究センター, 特任助教 (20612203)
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Keywords | 環境応答機構 / 情報伝達機構 / MAPK / ヒスチジンキナーゼ |
Research Abstract |
病原真菌Aspergillus fumigatusの環境応答情報伝達系である浸透圧応答(HOG)経路は、二成分制御系とSakA MAPK cascadeから構成されており、病原性への関与を視野に入れて機能解析を進めている。 前年度までの成果により、二成分制御系のセンサーヒスチジンキナーゼ(HK)であるNikAの遺伝子破壊株においてSakA MAPKのリン酸化レベルが上昇していることが示された。NikA以外のHKによるHOG経路の活性調節の可能性が考えられたため、すべてのHK(14個)遺伝子の発現を調査した。その結果、Fos1, Fhk5, Fhk6, PhkA, PhkBの発現が浸透圧刺激や農薬化合物処理により上昇しHOG経路に関連する特徴を示した。これらのHK遺伝子破壊株を作製し、ストレスに対する生育を調べたが顕著な表現型は示さなかった。また、これらのHKの欠損によるHOG経路の活性への影響も見られなかった。以上の結果から、HOG経路の制御という点において、上流HKの中でNikAは主要な働きをしている事が示唆された。 HOG経路の構成因子であるSskAレスポンスレギュレーターの遺伝子破壊株において、分生子の熱ストレスおよび酸化ストレスに対する耐性能が低下していた。しかしながら、その下流のSakA遺伝子破壊株は野生株と同等の耐性能を示した。一方で、SakAの下流で機能すると考えられるAtfA転写因子の遺伝子破壊株は顕著なストレス感受性を示し、SakAをバイパスするシグナル伝達因子の存在が推測された。そこでSakAに相同性の高いMpkC MAPKに着目し、sakA,mpkC二重破壊株を作製したところ、この株の胞子は高いストレス感受性を示した。したがって、SakAとMpkCの二つのMAPKが協調的もしくは重複した機能を持つ事が示唆された。
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Research Products
(6 results)