2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24790412
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
古田 芳一 東京大学, 新領域創成科学研究科, 助教 (40613667)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | ゲノム比較解析 / ピロリ菌 / 次世代シークエンサー / ゲノム再編 / de novo assembly / Mate-pairライブラリ / ゲノム進化 |
Research Abstract |
本研究は、ピロリ菌東アジア株について、次世代シークエンサーを用いて高精度・高速に完全長のゲノム配列を解読する手法を確立し、ゲノム比較解析を行うことでピロリ菌の東アジア人への適応進化・病原性進化について解析を行うことを目指すものである。全ゲノム情報を用いた比較解析を行うことにより、これまでの高々数個の遺伝子の塩基配列に基づいた解析と比べて、新規に獲得した遺伝子の検出や、より精密な系統解析、逆位等の大規模なゲノム再編の検出など、より精密な解析ができることが期待された。 平成24年度は全ゲノム解読手法の開発を行う計画であり、おおむね順調に推移した。次世代シークエンサーのデータから完全長のゲノム配列のデータを得るためには、アセンブリの妨げとなるリピート配列などをバイパスするため、Mate-pair 法(ある距離離れた2 箇所を読む方法)によるライブラリ作成が必須である。しかしながら、大量のリード情報を排出し、多株解析に理想的なイルミナシークエンサー用のライブラリ構築プロトコルは、このMate-pairライブラリの作成が不得手であった。 我々は、他のシークエンサーで使用されていたライブラリ構築手法を応用し、イルミナシークエンサーでの実用に堪えうるMate-pairライブラリの構築に成功した。ゲノム既知のピロリ菌株F30でライブラリ構築、アセンブリを試したところ、1本のスキャホールドを得ることに成功し、ほぼ完全長のゲノム解読が可能な手法であることが示された。他の株でも試したところ、いずれも1-5本程度のスキャホールドが得られ、多くとも数回のPCRによる確認で完全長のゲノム配列が得られることが示された。本手法の構築により、ピロリ菌ゲノムの多株解析のための下地が出来上がった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度は全ゲノム解読手法の開発を行うことと、複数のピロリ菌株についてその手法を適用してゲノム解読を行うことであった。 前者に関しては前項に記したとおり、他のシークエンサーでのライブラリ構築手法を応用したMate-pairライブラリ構築法を確立させたことにより、目標は達せられた。これは大量のデータを排出するイルミナシークエンサーを用いて完全長ゲノムを得られる手法であり、多株のバクテリアのほぼ完全長のゲノム情報を用いた、ゲノム進化解析を可能とするものである。 後者に関しても、すでにゲノム試料については、共同研究先である神戸大学の東・吉田研よりピロリ菌50株分の調達は完了している。そのうち30株のMate-pairライブラリの構築は完了し、現在イルミナのシークエンサーでのデータ解析を待っている状態である。引き続き通常のPaired end ライブラリの構築を行い、シークエンサーで解読し、Mate-pairのデータと併せて解析することで、ほぼ完全長のゲノム配列を得る予定であり、こちらについてもおおむね計画通り順調に推移していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度については、ピロリ菌30株について、残りのPaired end ライブラリを構築し、イルミナシークエンサーでリードデータを得る。現在解析中のMate pairライブラリのデータと合わせて解析し、30株のほぼ完全長のゲノム配列を得る。 続いて、そのゲノム配列を用いて比較解析を行う。当研究室が共同開発したRECOGというツールを用いて遺伝子クラスタリング解析を行い、遺伝子の有無やコピー数の変化について、ゲノムごとに検討する。特に、過去に行ったゲノム比較で多様性が見られた、ホストとの相互作用に関わる遺伝子や、細胞表層形成に関わる外膜タンパク質等の遺伝子について、詳細に解析を行い、可能であれば病態との対応づけを行う。各遺伝子について、正の選択が働いているかどうかを解析し、適応進化・病原性進化の過程でどのような遺伝子に対して選択がなされてきたのかの推定を行う。 ゲノム構造について、Mauve (Darling et al, 2004)を用いてゲノム中の長い逆位を全て検出する。逆位の両端の塩基配列や遺伝子を比較することで、そのメカニズムを検証する。また、MGR(Bourque et al, 2002)を用いて逆位の歴史の再構築を行い、ゲノム配列に基づいて相互の系統関係について解析する。 遺伝子レパートリー、ゲノム構造の情報を、患者の症状、地域等の情報について関連解析を行い、病原性特異的、もしくは地域特異的な遺伝子・ゲノム構造を検出することを目指す。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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Research Products
(11 results)
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[Journal Article] Genome-wide survey of mutual homologous recombination in a highly sexual bacterial species.2012
Author(s)
Yahara K, Kawai M, Furuta Y, Takahashi N, Handa N, Tsuru T, Oshima K, Yoshida M, Azuma T, Hattori M, Uchiyama I, Kobayashi I
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Journal Title
Genome Biology and Evolution
Volume: 4(5)
Pages: 628-640
DOI
Peer Reviewed
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