2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24790415
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
福井 理 大阪大学, 微生物病研究所, 特任研究員 (70397743)
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Keywords | 百日咳菌 / 気管支敗血症菌 |
Research Abstract |
本研究では、感染ラットの気道における百日咳菌の遺伝子発現の変化をIVET-IP法により網羅的に解析し、宿主特異性に関わる遺伝子候補の探索を目指す。昨年度に実施したラットにおける百日咳菌の感染経過観察より、百日咳菌は高濃度で感染させた場合であっても、9日目前後から急速に排除され、感染を維持できないことがわかった。この結果から、感染後9日目前後にラット感染維持に関わる遺伝子の発現が大きく変化すると推測され、目的分子を探索するための重要な時期であると考えられた。しかし、百日咳菌の排除は極めて速やかであるため、IVET-IP法を実施するために必要な菌量の回収が困難であることが判明した。そこで、本年度は、ゲノムライブラリーの増幅を試みたが、回収できたライブラリーは予想以上に少なく、偏りのない増幅を実現できなかった。そのため、申請者は当初の研究計画を再考し、IVET-IP法での遺伝子解析を断念して、新たな遺伝子同定法を試みることにした。 新同定法では、数十Kbの遺伝子断片を含む人工染色体ベクターを使用する。気管支敗血症菌の遺伝子断片を含む人工染色体ベクターを百日咳菌に導入し、9日目以降までラットにおいて感染を維持できた導入菌を回収して導入したゲノム配列を調べることで、ラット感染維持の責任遺伝子候補を絞っていく。本年度はまず、長鎖のゲノム断片の導入を可能にする百日咳菌人工染色体ベクターの作出を試みた。百日咳菌BP136株より分離された、低コピーでありながら50世代以上安定維持されるプラスミドを利用して、このプラスミドの「低コピー」と「安定維持」に関わる領域を推測し、これらを含むベクタープラスミドを数種作製した。これらのベクターのいくつかは、百日咳菌において数世代安定維持されることが確認できたため、人工染色体ベクター候補になり得ると考えられた。
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