2012 Fiscal Year Research-status Report
インターフェロンγが活性化するマクロファージの細菌認識メカニズムの解析
Project/Area Number |
24790422
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
松澤 健志 大阪府立大学, 生命環境科学研究科(系), 助教 (80370154)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 自然免疫 / インターフェロン / マクロファージ / 細胞内寄生菌 |
Research Abstract |
マクロファージに代表される食細胞は自然免疫の一端を担う細胞であり、病原体を貪食し、殺菌・分解を行う。しかし、結核菌を代表とするMycobacterium属細菌やリステリア、サルモネラといった細胞内寄生菌はマクロファージの殺菌作用を回避し、マクロファージ内でも生存・増殖する。これら細胞内寄生菌に対する感染防御には種々の刺激によるマクロファージの活性化が重要である。インターフェロンγ(IFN-γ)はマクロファージの主なアクチベーターであり、細胞内寄生菌に対する感染防御機構を理解するためにはIFN-γによるマクロファージ活性化メカニズムの解明が重要である。 オートファジーは不要になった細胞内小器官や、感染時では細胞内に侵入した細菌を分解する機構であるが、近年、我々の研究グループではIFN-γ刺激によりオートファジーが活性化されることを見いだしている。そこで、本研究ではオートファジー機構の本体であるオートファゴソームがどのようにIFN-γに調節されているかを調べた。まず、RAW 264.7マウスマクロファージ様細胞株にレンチウイルス遺伝子導入法によりオートファジーマーカーであるGFP-LC3発現ベクターを導入し、オートファゴソームを可視化した。Listeria monocytogenesもしくはMycobacterium bovis BCG株を感染させたGFP-LC3発現RAW 264.7細胞を固定後、蛍光顕微鏡下で観察したところ、IFN-γ処理した活性化マクロファージ内でGFP-LC3陽性細菌が増加した。このことから、IFN-γ処理マクロファージでは細菌に対する特異的オートファジーが活性化していることが明らかになった。今後はIFN-γによるオートファゴソーム細菌認識機構の活性化メカニズムを明らかにする予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
申請者はこれまでに、IFN-γがタンパク質キナーゼのp38 MAPKシグナル伝達経路を介してオートファジーを活性化し、この作用によりIFN-γは誘導型一酸化窒素合成酵素(NOS2)非依存的、オートファジー依存的にマクロファージの殺菌力を増強することを明らかにしてきた。本研究において、IFN-γ処理マクロファージでは細菌特異的なオートファジーが活性化していることを明らかにしている。しかし、平成24年度の研究目的であった、IFN-γ誘導性細菌認識機構に関与する分子の同定が遅れている。以上のことより現在までの達成度の区分を「やや遅れている」とした。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度にはIFN-γ誘導性細菌認識機構に関与するIFN誘導性GTP結合タンパク質及びTLR/NLR分子を同定し、IFN-γ誘導性細菌認識機構の分子メカニズムの解明を試みる。IFN-γ誘導性細菌認識機構に関与する事が明らかになった分子の細胞内動態を観察する。TLR/NLRとIFN誘導性GTP結合タンパク質との相互作用をGST-pull down 解析にて調べる。細胞内で複合体を形成しているかどうかを免疫沈降法で調べる。以上の研究によりTLR/NLRとIFN誘導性GTP結合タンパク質によるIFN-γ誘導性細菌認識機構の分子メカニズムを考察する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度の研究目的であった、IFN-γ誘導性細菌認識機構に関与する分子の同定が遅れているため、当初計画していた、IFN-γ誘導性細菌認識機構に関与するIFN誘導性GTP結合タンパク質の同定を平成25年度に引き続き行う。次年度の研究費は、各IFN誘導性GTP結合タンパク質ノックダウン細胞を樹立するために必要となる、shRNA発現ベクター作成、DNAオリゴ合成費、制限酵素、遺伝子組み換え、動物細胞への遺伝子導入にかかる費用等に使用する予定である。
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