2013 Fiscal Year Research-status Report
インターフェロンγが活性化するマクロファージの細菌認識メカニズムの解析
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24790422
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
松澤 健志 大阪府立大学, 生命環境科学研究科(系), 助教 (80370154)
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Keywords | 自然免疫 / マクロファージ / インターフェロン / 細胞内寄生菌 |
Research Abstract |
マクロファージに代表される食細胞は自然免疫の一端を担う細胞であり、病原体を貪食し、殺菌・分解を行う。一方で、結核菌を代表とするMycobacterium属細菌やリステリア、サルモネラといった細胞内寄生菌はマクロファージの殺菌作用を回避し、マクロファージ内で生存・増殖する。これら細胞内寄生菌に対する感染防御には種々の刺激によるマクロファージの活性化が重要である。インターフェロンγ(IFN-γ)はマクロファージの主なアクチベーターであり、細胞内寄生菌に対する感染防御機構を理解するためにはIFN-γによるマクロファージ活性化メカニズムの解明が重要である。 オートファジーは細胞内の不要になった小器官を分解するだけではなく、細菌感染時には細胞内に侵入した細菌をも分解する事が知られている。近年、我々の研究グループではIFN-γ刺激によりオートファジーが活性化されることを見いだしている。そこで、本研究ではオートファジー機構の本体であるオートファゴソームがどのようにIFN-γに調節されているかを調べた。 まず、RAW 264.7マウスマクロファージ様細胞株にオートファジーマーカーであるGFP-LC3発現ベクターを導入し、オートファゴソームの本体であるオートファゴソームを可視化した。Listeria monocytogenesもしくはMycobacterium bovis BCG株を感染させたGFP-LC3発現RAW 264.7細胞を固定後、蛍光顕微鏡下で観察したところ、IFN-γ処理した活性化マクロファージ内でGFP-LC3陽性細菌が増加した。さらに、IFN-γがタンパク質キナーゼのp38 MAPKシグナル伝達経路を介してオートファジーを活性化し、この作用によりIFN-γはオートファジー依存的にマクロファージの殺菌力を増強した。 本研究によりIFN-γにより活性化したマクロファージでは細菌特異的なオートファジーが活性化し、この作用が感染防御に重要であることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的であった、IFN-γ誘導性細菌認識機構に関与する分子の同定はやや遅れている。しかし、本研究において申請者は、IFN-γがタンパク質キナーゼのp38 MAPKシグナル伝達経路を介してオートファジーを活性化し、この作用によりIFN-γは誘導型一酸化窒素合成酵素(NOS2)非依存的、オートファジー依存的にマクロファージの殺菌力を増強すること、IFN-γ処理マクロファージでは細菌特異的なオートファジーが活性化していることを明らかにした。以上のことより現在までの達成度の区分を「(2)おおむね順調に進展している」とした。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、日本細菌学会や日本分子生物学会等でこれまでに得られた研究成果を発表する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度には日本細菌学会や日本分子生物学会等でこれまでに得られた研究成果を発表する予定である。 次年度使用額は学会の参加のための旅費として使用する予定である。
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