2013 Fiscal Year Annual Research Report
コレラ菌のキチン誘導型形質転換におけるシグナル伝達機構
Project/Area Number |
24790431
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Research Institution | National Institute of Infectious Diseases |
Principal Investigator |
山本 章治 国立感染症研究所, その他部局等, 主任研究官 (80469957)
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Keywords | コレラ菌 / キチン / 形質転換 / シグナル伝達 / 二成分制御系 / センサーキナーゼ / 膜貫通型転写因子 / non-coding RNA |
Research Abstract |
キチンの分解産物(GlcNAc)2はコレラ菌のDNA取り込み能(コンピテンス)を活性化するシグナル分子である。本研究は,(GlcNAc)2のシグナル伝達に関わる因子として新たに見出された蛋白質であるTfoS(VC2080)の機能を解明することを目的とする。前年度までの解析によって,1)TfoSはnon-coding RNAであるTfoRの発現誘導を介してコンピテンスを活性化すること,2)TfoSは内膜に局在することが明らかになるとともに,3)(GlcNAc)2のTfoSに対する作用は直接的ではない可能性が示唆された。当該年度は以下の2点について解析を行い,得られた知見を学術論文・集会で発表した。 1)TfoSによるtfoRの転写活性化能 TfoSのDNA結合ドメインを精製し,in vitro転写解析を行った。精製蛋白質はtfoRのプロモーターを特異的に活性化した。また,ゲルシフトアッセイとDNase IフットプリンティングによってTfoSが結合する塩基配列を特定した。 2)二成分制御系センサーキナーゼChiSの関与 ChiSは(GlcNAc)2反応型のセンサーキナーゼとして以前から知られていた。意外なことに,TfoSは二成分制御系レスポンスレギュレーターと相同性がないにも関わらず,その活性はChiSに支配されることがわかった。また,ChiSによるTfoSの活性化には,センサーキナーゼ間で保存されるリン酸基転移部位が不要であった。 以上の知見から,(GlcNAc)2→ChiS→TfoSというシグナルカスケードがコレラ菌のコンピテンスを支配しており,ChiS→TfoSのシグナル伝達は既知のリン酸基転移とは異なる機構で進行するものと考えられる。
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Research Products
(3 results)