2012 Fiscal Year Research-status Report
宿主因子を利用した腫瘍ウイルスのゲノム複製・分配・維持機構の解明
Project/Area Number |
24790441
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
大崎 恵理子 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (50447801)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | カポジ肉腫関連ヘルペスウイルス / DNA複製 / ゲノム分配 / 核マトリックス |
Research Abstract |
KSHV潜伏感染複製において重要なウイルス因子であるLANAは単独で核マトリックス分画へ局在すること,またLANAのC末端ドメイン(DBD)は, DNA複製起点(ori-P)と配列特異的に結合することから,LANAが核マトリックス分画へゲノムをリクルートすることで複製が可能になると考えられる。そこでHaloタグを付加した核マトリックスタンパクNuMAのN末,C末にDBDを融合したキメラタンパクを作製してウイルスゲノムを核マトリックス上へ人工的にリクルートするシステムを構築し,ori-Pの複製活性を調べた。その結果,Haloタグを付加した融合タンパク質のうち,NuMA-DBD, DBD-NuMAはNuMAと同様に核マトリックス分画に局在し,ori-P複製活性を示した。一方DBDのみの場合は核内に局在するが核マトリックス分画への局在能を持たなかった。またDBDのori-Pへの結合活性はNuMA-DBDと比較して10倍高いにもかかわらずDBDによるori-Pの複製活性は低かった。すなわちNuMA-DBD, DBD-NuMAは核マトリックス構成因子として機能すると同時に,ori-P結合能を持っていることからori-Pが核マトリックス上にリクルートされることで複製効率が高くなったことが示唆された。また, LANAのN末にはNLSが存在するため,N末をわずか100アミノ酸欠失した時点で細胞質に局在が変化する。そこでN末にNLS活性を持つGAL4-BDドメインを付加した変異体(BD-LN273-1162)を作製し細胞内局在を調べたが,予想されたGAL4-BDによる核移行は見られなかった。様々なLANAの欠失変異体を作製し,それらの細胞内局在を細胞分画法およびIFA により解析したところ,ほぼ全長のLANAの立体構造が核マトリックス分画局在に必要であることを示唆する結果を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究計画のうち、LANA欠失変異体の作製と局在変化の解析およびori-Pの核マトリックスへの局在とゲノム複製の機能的関連についての解析についてはほぼ当初の計画通りに進んでいる。交付申請書に記載した研究計画とは実験の順番が多少前後しているものもあるが、次年度に達成できるものと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は1)ori-Pエレメントとしての32bpGC領域の必要性の検討、2)LANAと相互作用する因子の同定・機能解析、および3)凝縮染色体の相互作用に必要なLANA領域の同定と宿主結合因子の同定について、研究を進めていく。まずはChIP-seq解析のためのライブラリー調整を行い、1)の計画を進展させるとともにLANAと相互作用する因子の同定を成功させることが出来ればゲノム分配メカニズムの解明に一歩近づくと考えている。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度はおもに物品費、旅費等に研究費を使用する予定であるが、実験機器の老朽化に伴い必要性が出た場合、適宜備品を購入する予定である。
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Research Products
(7 results)