2013 Fiscal Year Annual Research Report
宿主因子を利用した腫瘍ウイルスのゲノム複製・分配・維持機構の解明
Project/Area Number |
24790441
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
大崎 恵理子 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (50447801)
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Keywords | カポジ肉腫関連ヘルペスウイルス / 潜伏感染 / DNA複製 / 核マトリックス / LANA / ori-P |
Research Abstract |
カポジ肉腫関連ヘルペスウイルス(KSHV)は,これまでの研究からDNA複製開始起点, ori-P領域にLANAとよばれる潜伏感染因子が結合することで, LANA依存的に宿主複製開始因子がori-P領域へリクルートされることが明らかにされている。本研究では,核マトリックスのDNA複製における役割に着目し,核マトリックス因子NuMAとLANAのori-P結合領域(DBD)とのキメラタンパク(NuMA-DBD: NuMAのC末側にDBD, DBD-NuMA: NuMAのN末側にDBD)を作製することで,核マトリックス上へori-P領域が集積するシステムを構築しDNA複製活性を検討した。その結果,NuMA-DBD,DBD-NuMAいずれもNuMAと同様に核マトリックス分画に局在可能であることが間接蛍光抗体法および細胞分画法により確認された。また,キメラタンパクがori-P領域との結合活性を示すかどうかをクロマチン免疫沈降法により調べたところ,ori-Pへの結合活性は全長LANAと比較してNuMA-DBDは1.2倍とほぼ同等の活性を示し, DBD-NuMAは6.2倍の活性を示した。このときのori-Pを含むプラスミドのDNA複製活性は,NuMA-DBDは全長LANAと比較して0.8倍とほぼ同等の活性を示し,DBD-NuMAは0.4倍程度であった。興味深いことにDBDのみの場合,ori-P結合活性は全長の40-50倍を示したが,ori-P複製活性は0.6倍程度であり, ori-P結合活性に対するDNA複製効率は非常に低かった。DBDは核内に局在し,ori-Pとの高い結合活性を示すにも関わらずDNA複製効率が低いことと,NuMA-DBDが複製活性を示したことから,ori-Pの複製活性において核マトリックスへの局在が重要である可能性が示唆されるきわめて重要な結果を得た。
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