2013 Fiscal Year Research-status Report
ウエストナイルウイルス感染ノックアウトマウスにおける脳内浸潤特異的T細胞の検討
Project/Area Number |
24790457
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Research Institution | Clinical Research Center for Allergy and Rheumatology, National Hospital Organization, Sagamihara National Hospital |
Principal Investigator |
北浦 一孝 独立行政法人国立病院機構(相模原病院臨床研究センター), その他部局等, 研究員 (00518136)
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Keywords | フラビウイルス |
Research Abstract |
本研究ではウエストナイルウイルス(WNV)感染における病態解明のためにマウスを用いた感染実験を実施している。WNVと同じ血清型に含まれる日本脳炎ウイルス(JEV)はWNVと比べて取扱いがしやすく、P2施設での実験が実施可能であるため、予備実験としてJEVでの反応性を精査している。昨年はJEVのOArS982株をC57BL/6マウスに感染させた際の病態について解析した。このウイルスをマウスに感染させると濃度非依存的に約半数のマウスを致死に至らしめる毒性を持つが、残りの半数は生存するという病態を示す。この理由について細胞性免疫の違いが影響しているのではないかという発想の基に、qPCRを用いたT細胞関連分子の発現解析、TCRレパトア解析、CDR3シークエンス解析を実施した。その結果、生存群と死亡群の脳内ではTh1サイトカイン、T-betやGATA3などの上位転写因子の発現量が異なることがわかった。さらにFoxp3やTGF-beta1などのTreg関連因子が生存群で死亡群よりも増加していたことから、過度の炎症を軽減することが生存に有利であることが示唆された。異なる性状に導く理由がT細胞の種類に影響されるかを評価するためにTCRレパトア解析を実施したところ、生存群と死亡群ではMock群に対して共通するTCRV遺伝子の増加を認めた。しかしCDR3シークエンス解析では同じ増加したV遺伝子を所有するT細胞でありながら、CDR3配列は生存群と死亡群で厳格に異なった。したがってJEV感染において生存群と死亡群では異なるT細胞の浸潤とその誘導する細胞性免疫によって生死が分かれる可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年に引き続きC57BL/6マウスを用いたフラビウイルス感染実験を実施している。細胞性免疫において特異性がその後の免疫性状を大きく変化させる可能性を本実験では見出すことができた。これは今後実施するKOマウス実験においても感染の病態を適切に判断するための重要な指標となり、今後も継続してウイルス、動物、免疫がどのようなメカニズムで生存や致死、炎症の程度などをコントロールするかについて検討を進めていく。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進方策として、WNV感染におけるT細胞の免疫学的役割について解析を進める。具体的にはWNV脳内浸潤T細胞クローンの樹立として、WNV感染に伴い脳炎を発症した各KOマウスを作成し、脳内よりWNV特異的T細胞クローンを樹立する。抗原刺激により活性化したT細胞のクローナリティーは相当高いものと推測されるが、TCRの各V領域に対する抗体を吸着させたMACS法を利用して、TCRレパトア解析によって特定されたV遺伝子を有するT細胞を抽出する方法も代案として用意している。このようにして得られたT細胞クローンを他動物に移入することで、感染初期にウイルス排除に対して活性化可能なT細胞が存在する状況を作製し、その挙動を評価することができる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
予定していたT細胞クローンを得る実験まで進行しなかったため、必要な培養関連試薬、モノクローナル抗体の購入を控えたことが理由である。 次年度で上記実験を進めるための準備が整っており、当初の計画よりは遅れたものの継続して実験を行う予定である。
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Research Products
(1 results)