2012 Fiscal Year Research-status Report
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24790465
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
広瀬 哲史 新潟大学, 医歯学系, 助教 (10415276)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | T細胞 / 胸腺 / 分化 / Bcl11b / NKT細胞 |
Research Abstract |
申請者らは、亜鉛フィンガー転写因子Bcl11bがT細胞分化初期においてNK細胞分化を阻止し、T細胞への運命を維持することを明らかにしてきた。さらに、昨年度までに、T細胞特異的Creトランスジーンを用いた条件欠損マウスや、Bcl11bにS826G変異を導入したマウスを使用し、さまざまなT細胞集団の分化においてBcl11bの役割を検討してきた。その結果、Bcl11bの活性低下によってCD8+細胞やNKT細胞の分化が顕著に阻害されることが判明した。Bcl11bは、NKT細胞の正の選択の段階で機能していることが従来より知られていたが、昨年度の解析において、CD44<high>NK1.1<low>からCD44<high>NK1.1<high>に移行する成熟段階においても機能していることが判明した。また、胸腺CD8+細胞においては、Bcl11bの機能が低下すると、活性化マーカーCD44や自然免疫を担うリンパ球に特徴的なCD122の発現上昇が認められ、マイトジェン刺激によって容易にIFN-gammaを産生することを明らかにしてきたが、さらに、昨年度はこれらに加え、CD122やIFN-gammaの発現を制御する転写因子、Eomesが発現する一方、エフェクター細胞を特徴づけるCD25が発現しないことを見出した。これらのことによりCD8+細胞が自然免疫様細胞に分化している可能性が示唆された。自然免疫様CD8+ T細胞はNKT細胞もしくはgammadeltaNKT細胞から産生されるIL-4が必要とされ、いくつかのモデルマウスでは、IL-4産生細胞の増加の結果、自然免疫様CD8+T細胞が増加することが知られる。しかし、Bcl11b変異マウスでは、むしろNKT細胞が減少しており、gammadeltaNKT細胞も増加していないことから細胞自律的に自然免疫様の性状を獲得していると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
現在論文執筆が概ね終了し、関連分野の海外の研究者の意見を伺ったところ、良好な評価を頂いたが、補足データの必要性を指摘された。したがって、研究の方向性は妥当であり、骨格となるデータは揃ったと考えている。 また、動物実験施設が半年間に渡って全面改修中であり、動物施設関係者の尽力のお陰で実験が中断する事態には至っていないが、実験の進行に不自由を感じている。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度に引き続き、今年度も、自然免疫様CD8+胸腺T細胞が分化した原因を解析する。そのために、H2-Ab1欠損マウスやHY TCRトランスジェニックマウス、ThPokGFPマウス(ThPok遺伝子にGFP遺伝子をノックインしたマウス)と交配し、表現型を解析する。また、Bcl11b条件欠損マウスより特定の分化段階のT細胞をセルソーターや磁気ビーズにより分画し、細胞を培養してその性状を検討するとともに、RNAやタンパク質を抽出して遺伝子の発現や細胞内シグナル伝達の変化を調べる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
関連分野の研究者(米国)のもとで研究に必要な実験手法を学んできたため、予定より使用額が少なかった。(学長裁量経費による渡航) 物品費として、抗体、培養液等に100万円程度、研究成果発表、情報収集として学会、研究会などに出席するための費用として旅費26万円程度、動物施設使用料、胚操作依頼に要する費用としてその他110万円程度を見込んでいる。
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Research Products
(7 results)