2013 Fiscal Year Annual Research Report
好塩基球におけるインターロイキン4産生シグナルとその制御機構の解明
Project/Area Number |
24790467
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
小田 朗永 東京理科大学, 生命医科学研究所, 助教 (80547703)
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Keywords | PIR-B / IL-4 / 好塩基球 / IL-3 |
Research Abstract |
申請者は、アレルギー疾患に関わっている過剰なTh2応答に密接に関わっている好塩基球によるTh2サイトカイン産生を負に制御する分子メカニズムの解明を目的とし、本研究を遂行した。その結果、好塩基球によるTh2サイトカイン産生は、抑制型受容体であるPaired Ig-like Receptor B(PIR-B)により負に制御されている事を明らかにした。以下、その詳細について言及する。 IL-3で培養した好塩基球(IL-3-BMBs)は、PIR-Bの発現が上昇し、IL-3に対する応答性を消失する(IL-3不応答性の獲得)。一方でPIR-B欠損IL-3-BMBsはIL-3に対し多量のIL-4を産生し続け、IL-3不応答性が破綻する。このPIR-B欠損IL-3-BMBsによる異常なIL-3応答性は、FcRg-ITAM-Syk経路を介して誘導されており、さらに細胞内シグナル伝達において、PLCγ2のリン酸化が異常亢進していた。それらの結果はPLCγ2がIL-3受容体からのIL-4産生シグナル分子であり、PIR-BがPLCγ2のリン酸化を抑制する事により、そのシグナルを負に制御しているという事を示唆している。PIR-Bは抑制モチーフであるITIMを介して細胞内シグナルを抑制するという事が知られている。しかし、ITIM欠損変異型PIR-Bを導入したPIR-B欠損IL-3-BMBsにおいても、PLCγ2のリン酸化が抑制され、IL-3誘導性IL-4産生を強く抑制できる事がわかった。そしてこの抑制効果は細胞外部位変異体PIR-Bによってキャンセルされた。従って、IL-3誘導性IL-4産生シグナルの抑制がPIR-Bのリガンド依存的、そしてITIM 非依存的にPLCγ2のリン酸化を制御する事によって担われているという、新たなメカニズムによって担われている事が明らかとなった。
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