2013 Fiscal Year Annual Research Report
内皮細胞由来IL-7によるB細胞分化、末梢T細胞維持の機構
Project/Area Number |
24790468
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
原 崇裕 京都大学, ウイルス研究所, 助教 (90512301)
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Keywords | IL-7 / 内皮細胞 / B細胞 / T細胞 |
Research Abstract |
サイトカインIL-7は、リンパ球の分化・増殖・生存にとって重要なタンパク質であり、生体防御システムの構築に必須の分子である。しかしながら、IL-7を産生する細胞が何なのか、そして局所的にどのように機能しているのか殆ど分かっていない。本研究ではこの2点の疑問を明らかにすることを目的としており、リンパ球の形成過程と維持機構の解明に繋がると考えられる。 これまでにIL-7-GFPノックインマウスの解析を進めた結果、末梢のリンパ管内皮細胞、および骨髄に存在する特定の血管内皮細胞がIL-7を産生していることを明らかにした。その機能を調べるため、IL-7コンディショナル・ノックアウト(cKO)マウスを用いて内皮細胞特異的にIL-7を欠損させ、末梢T細胞の維持・動態と骨髄内B細胞分化について解析を進めた。まずT細胞のhomingに関わるintegrinの発現を調べた結果、内皮特異的IL-7欠損マウスでは、末梢血中のT細胞で顕著な発現変化があることが判明した。従って、このintegrin発現変化が、二次リンパ組織内T細胞数が減少する原因の一つであることが示唆された。また、骨髄の血管内皮細胞はB細胞分化に一定の寄与があることを明らかにし、逆にリンパ管内皮由来IL-7は骨髄内に流入して造血に影響を及ぼすことがないことを確かめた。従って、血管内皮細胞から産生されるIL-7は、リンパ球の分化や組織内分布に重要な役割を果たしていることが判明した。 一方で骨髄においては、血管内皮細胞以外にもIL-7を産生する他のストローマ細胞を同定した。今後は、これら他の骨髄ストローマ細胞が産生するIL-7の寄与も包括的に解析することで、B細胞が分化する場の研究を更に発展させることが出来ると考えられる。
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Research Products
(10 results)