2012 Fiscal Year Research-status Report
制御性T細胞を分化成熟させる胸腺内Tregニッチの実証とそのクロストーク分子機構
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24790488
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
深澤 太郎 独立行政法人理化学研究所, 生体情報統合技術開発チーム, 特別研究員 (10565774)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 制御性T細胞 / 胸腺 |
Research Abstract |
TA-KOマウス胸腺のTreg(CD4+CD25+)分画は成熟Tregで占められている。よって、TA-KO Treg分画での発現遺伝子プロファイルは成熟Tregを強く反映したものになる。そこで、TA-KOとTNFα-KO(対照)マウス胸腺のこの分画を単離し、発現遺伝子の違いをDNAマイクロアレイを用いスクリーニングした。発現量に差のみられる遺伝子が68候補得られたが、この中にはTA-KO Treg分画で発現増強しているものとしてIL-7Rαが含まれていた。これについてはフローサイトメトリーにてTA-KO胸腺Treg分画内でCD4+CD25+Foxp3+IL-7Rα+のものの頻度が高くなっていることを確認した。そこで、IL-7Rαが成熟Tregのマーカーとなる可能性の検討を行った。野生型マウス胸腺のCD4+CD25+IL-7Rα陰性/陽性分画それぞれについてTregの成熟度合いを解析し、IL-7Rα陰性Treg分画には未成熟なTregが一定量含まれる一方、IL-7Rα陽性Treg分画は成熟Tregで占められているという結果を得た。 これにより、胸腺Treg分画中に成熟Tregという新たな亜集団の分子的な定義が可能となる。現状では、胸腺Tregの成熟度合いはゲノムfoxp3領域の特定のCpGモチーフのメチル化程度の解析により行われるが、これには細胞をセルソーターにて回収しDNA抽出・バイサルファイト処理、PCR・サブクローニング、シーケンス、と多大な労力と費用が掛かる。ここで今回同定されたIL-7Rαを、メチル化程度解析を代替する新たな成熟Tregマーカーとして用いることで、解析労力と費用が大幅に削減される上に、他抗体との共染色や成熟Tregのソーティングも可能となり、胸腺Treg研究への大きな波及効果が期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
<Treg流出に際しRelAを必要とする細胞種の同定とスクリーニング:やや遅れている>胸腺からの成熟Treg流出に際しどの細胞種でRelAを必要とするか検討を行っている。まず胸腺上皮選択的にRelAを欠損させるためfoxn1-cre:rela floxed/floxedマウスを作出したところ、このマウスの胸腺上皮においてrelaの組み換え効率が悪かったため、現在foxn1-cre:rela floxed/KOマウスを作出し解析している。同時に、この解析結果が出次第すぐにスクリーニングに移れるよう、胸腺上皮とこれに加え胸腺ストロマを構成し得る他の細胞種の単離・プールを進めている。 <流出に関与するTreg側での分子の探索:計画以上に進展した>TA-KOとTNFα-KO胸腺Treg分画でのスクリーニングの結果、前述(研究実績の概要)の通り①成熟Tregマーカーとなる因子の同定がなされた。加えて、②成熟Treg流出の実働分子である可能性が疑われる因子を同定した。①の成果により、流出できる成熟Treg(TNFα-KO IL-7Ra陽性Treg)と流出できない成熟Treg(TA-KO IL-7Ra陽性Treg)の直接比較が可能となったため、現在この分画間でのスクリーニングのため細胞の単離・プールを進めている。また、②の因子のノックアウトマウスが存在していたため提供を受け、凍結胚からの個体作成を理研バイオリソースセンターに依頼している。
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Strategy for Future Research Activity |
foxn1-cre:rela floxed/KOマウスでの解析結果が出次第、単離・プールを進めている胸腺上皮・胸腺ストロマ細胞サンプルを用いてDNAマイクロアレイによるスクリーニングを行う。得られた候補遺伝子について、胸腺上皮細胞由来の培養細胞株(TSt-4など)に強制発現させ、これとTA-KO胸腺成熟Tregとを共培養し、前述②の因子の発現誘導がみられるか検討を行う予定である。 また、成熟Tregの流出におけるTreg側の実働分子と疑われる前述(現在までの達成度)②の因子のノックアウトマウスについて、マウス個体が得られた後、このマウスの胎児肝移植による血球系キメラマウスを作出し、胸腺Treg側でこの因子を欠損した場合に胸腺からの流出に異常がみられるか、胸腺Treg分画中の成熟Treg比率解析による検討を行う。また、前述のとおり流出できる成熟Treg(TNFα-KO IL-7Ra陽性Treg)と流出できない成熟Treg(TA-KO IL-7Ra陽性Treg)の発現遺伝子プロファイルの比較をDNAマイクロアレイを用いて行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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Research Products
(1 results)