2013 Fiscal Year Research-status Report
皮膚および筋の高線量放射線障害に対してリハビリテーションは有効か?
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24790495
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
成田 大一 弘前大学, 保健学研究科, 助教 (90455733)
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Keywords | 放射線障害 / 高線量被ばく / リハビリテーション / 関節可動域 / 筋 / 皮膚 |
Research Abstract |
平成25年度は,昨年度に我々が作成したラット後肢の局所放射線障害病態モデルに対して,実際にリハビリテーション介入(トレッドミル走行)を実施し,関節可動域にどのような影響を及ぼすかを明らかにすることを目的とした。 ラットは8週令の雄19匹を使用し,X線非照射群(CON群,n=7),50 GyX線照射群(50 Gy群,n=6),50 GyX線照射後,トレッドミル走行を実施する群(50 Gy-T群,n=6)に無作為に割り付けた。X線の照射は,ラット9週令時に実施した。CON群ならびに50 Gy群にはX線を照射した日から7週間通常飼育を実施した。50 Gy-T群は,X線照射翌日からトレッドミル走行を実施した。トレッドミル走行は,X線照射後7週間まで,1週間に5日,1日1回20分間実施した。トレッドミルの速さは12m/minとし,走行面の角度は10度(上り坂)となるように設定した。 関節可動域の評価として,X線照射直後から7週目まで1週間毎に足関節背屈の関節可動域を測定した。また,今後の解析のため最終評価後にペントバルビタールナトリウム腹腔内大量投与にてラットを安楽死させ,ヒラメ筋と後肢の皮膚を摘出した。摘出したヒラメ筋は,上下で2等分し,一方はトラカガントゴムに包埋後,液体窒素で冷却したイソペンタン中で凍結し,もう一方は,4%パラホルムアルデヒド・リン酸緩衝液中で保存した。後肢の皮膚も2等分し,一方は凍結包埋し,もう一方は4%パラホルムアルデヒド・リン酸緩衝液中で保存した。 関節可動域測定の結果,X線照射後2週目より50 Gy群,50 Gy-T群ともに関節可動域が低下するが,その後50 Gy-T群では50 Gy群に比べ,関節可動域の改善が認められた。以上のことから,放射線障害に対してリハビリテーション介入を実施することにより,関節可動域の低下を抑制できる可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度の実験結果から,リハビリテーション介入方法を当初予定していた小動物用足関節運動装置を用いた足関節の間歇的ストレッチからトレッドミル走行に変更した。間歇的ストレッチに比べるとトレッドミル走行は,一度の介入で多くのラットに対して適応することができ,順調に対象数を増やすことができている。それに伴い,足関節背屈の関節可動域のデータも採取がほぼ終了し,また今後組織学的に解析する筋ならびに皮膚の標本も採取できており,最終年度の解析作業に向けて順調に進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度の成果により,ラット後肢の局所放射線障害病態モデルに対してリハビリテーション介入を実施した際の関節可動域の変化のデータを収集することができ,また筋および皮膚の標本も採取できている。よって,平成26年度は,採取した筋および皮膚の組織学的検査を実施するとともに,関節可動域のデータとの相関関係を検討することで放射線障害に対するリハビリテーション介入の効果を明らかにする予定である。また,最終年度としてこれらの成果を発表することを計画している。これにより当初の計画通り目標を達成できると考える。 そして,さらに本研究を推進する方策として,平成24年度の実験計画の変更に伴い生じた繰越金と平成25年度の研究費を用いて,実験に支障が出ず,なおかつ助成金額の予算範囲で当初購入を検討していた小動物用足関節運動装置よりも安価で同様の機能を有するラット用足関節他動運動装置を購入したため,この装置を用いたリハビリテーション介入も実施し,より多くの追加データの採取を検討し,本研究を推進していく。
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Research Products
(2 results)