2014 Fiscal Year Annual Research Report
困難な医療面接‘悪い知らせ’に要求される医師側のコンピテンシーについての研究
Project/Area Number |
24790506
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Research Institution | Fukushima Medical University |
Principal Investigator |
菅原 亜紀子 福島県立医科大学, 医学部, 助手 (40566808)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 医療コミュニケーション / 悪い知らせ / 医学教育 / RIAS |
Outline of Annual Research Achievements |
医師にとって、がん告知などの‘悪い知らせ’を伝えるコミュニケーションスキルを身につけることは重要である。本研究では、臨床経験のない医学生ががん告知を行った際に予想されるコミュニケーションの特徴を調べた。 本学医学部5年生(男性15名;女性13名、平均年齢23.2±0.8歳)が医療面接実習において模擬患者へのがん告知を行った医療面接事例28例を対象とした。医療面接の客観評価として、教員が医学生のコミュニケーションパフォーマンス14項目について評価を行い、言語的コミュニケーション分析として患者-医師の相互作用分析システム(RIAS)を行った。 教員評価では、コミュニケーションの基本のうち「あいさつ、自己紹介、患者確認」と「適切な視線、姿勢、態度」が高い評価であり、「開放、集中、閉鎖型質問の使い分け」、「共感の言葉を返す」が低かった。悪い知らせを伝えるSPIKESプロトコルに沿った項目については「患者の病状に対する認識の把握」と「病名、予後、治療選択肢等の情報提供」の評価が高く、「患者が望む情報の程度の理解」で低かった。医療面接の基本的マナーは習得できていたが、患者の状況に応じた質問、共感の声掛けは難しい様子であった。悪い知らせの伝え方としては、医学的に正しい情報提供ができる一方、患者がその情報提供をどの程度望んでいるかの配慮についてはさらに指導が必要と思われた。また、男子学生よりも女子学生で評価が高く、性差が認められた。 言語的コミュニケーション分析においては、相づちなどの「会話促進・連携」、患者への同意や理解を示す発言などの「患者‐医師関係の構築」および「情報交換」に関する発言が、医学生の発言の約1/3ずつを占めることが示された。情報交換の中では医学的な情報提供の比重が大きく、患者の心理社会的情報を問う質問が乏しいという特徴があり、患者の生活背景や心理に配慮したアプローチを学ぶ必要性が考えられた。
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Research Products
(5 results)