2012 Fiscal Year Research-status Report
がんのケアの質の評価およびケアの質の向上に関する研究
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24790507
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
内田 恵 名古屋市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (00569254)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | サイコオンコロジー / ニード / 放射線治療 / ケアの質 / 国際情報交換 / オーストラリア |
Research Abstract |
【目的】本研究では、放射線治療中の患者において、我が国のがんのケアの現状を評価し、改善に役立つ介入を検討することを目的としている。プライマリーエンドポイントは我が国のがん患者ががんのケアについて重要だと思う点と、実際に自身が受けたケアで改善の余地があると思っている点について現状を把握すること、セカンダリーエンドポイントは、重要でかつ改善の余地ありと思われている点について介入を検討することである。 【方法】名古屋市立大学病院の放射線科で外来治療中の20歳以上のがん患者を対象に連続サンプリングを開始した。評価には以下の質問紙を使用している。(1)Quality of Cancer Care Survey: 患者視点から現在のケアの改善点とケアにおいて重要な点を評価、(2)Hospital Anxiety and Depression Scale: 身体合併症を有する患者の不安と抑うつを評価、(3)Cancer Fatigue Scale: がん患者の倦怠感を評価、(4)M.D. Anderson Symptom Inventory: がん患者の症状を評価。 【進捗状況】平成24年8月よりサンプリングを開始し、平成25年3月末までに、145名が適格となり、うち91名から同意が得られ、87名から郵送による返答が得られている。尚、現時点での中間解析は行っていない。 【研究の意義と重要性】これまでがん患者が主観的にケアや治療について評価する尺度は存在しておらず、本研究においては患者視点でのケアの質の評価が得られることとそれに伴う介入の開発を念頭においていることに本研究の意義がある。本研究の結果、患者視点でのケアの質の把握に基づいた介入を開発することができればケアの質が改善され、がん患者の精神的・身体的ストレス予防あるいは緩和を通じてQOL向上に資することが想定される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の予定では、目標サンプル数は100名であり、平成25年3月末までに91名の参加が得られたため、やや目標よりサンプリングのペースは遅いがほぼ目標数に到達した。しかし、平成24年度半ばに同研究の6カ国間(オーストラリア、ベトナム、香港、ヨルダン、韓国、日本)との国際比較研究が計画され、先行研究の結果から国際比較に必要なサンプルサイズを300名と見積もったため、調査期間を延長し平成25年度も調査を継続することとした。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も名古屋市立大学病院放射線科外来にてサンプリングを継続していく。サンプルサイズの増加に関しては、名古屋市立大学放射線科外来での調査期間の延長と京都大学付属病院放射線科外来での調査を追加することで対応していく。 サンプリングが終了した時点で、得られたデータを解析し、我が国のがん患者におけるがんのケアの実態およびがんのケアに改善の余地があると考えているがん患者群を同定し、国際比較する。本研究から得られた知見をもとに、日本のがん患者に適したがんのケアを改善する介入を検討していく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本研究の実施にあたっては、質問票などの物品の整備、患者サンプリング支援、データ管理等の為に研究支援者が必要であるため、その謝金を計上した。繰越金については、本年度の研究支援者雇用時期の遅れにより生じたものであり、次年度での謝金に充てる予定である。また、研究成果を日本サイコオンコロジー学会、International Psycho-oncology Society等の各年次総会での発表を予定しており、その学会参加費を旅費として計上した。その他として、研究実施において必要な印刷費、会議費を計上した。
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