2012 Fiscal Year Research-status Report
救急病院の受付停止に伴う地域医療への影響評価:地理情報システムの解析を基礎として
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24790508
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
木村 義成 大阪市立大学, 文学研究科, 講師 (20570641)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 救急医療 / アクセシビリティ / 二次医療圏 / 地域医療 / 地理情報システム |
Research Abstract |
本研究では、中山間地域を多く有する島根県を例に、地理情報システム(GIS)を用いて、救急病院の受付停止が、地域住民の救急病院へのアクセシビリティに与える影響を評価することである。具体的には、二次医療圏を分析単位として、救急車で救急病院へ搬送するのに必要な時間を本研究のアクセシビリティとして定義し、救急病院の受付停止前後において当該医療圏や隣接する医療圏への搬送時間の変化を定量的に評価することである。 平成24年度は本研究の分析対象となる島根県の保健医療に関する統計データや空間基盤データの整備に従事した。平成25年度の分析で用いる、平成22年の島根県における町丁・大字別人口統計データの収集や、二次医療圏境界、国土数値情報をもとにした行政界、道路、救急医療機関などの空間基盤データの整備を行った。 本年の活動の結果、平成24年11月に開催された日本農村医学会総会のシンポジウムにおいて、島根県における救急医療機関へのアクセシビリティに関して、英語による発表を行い、国内のみならず、海外との研究者と中山間地域における救急医療体制についてGISを用いた分析の可能性について意見交換を行った。平成25年度は、患者の救急搬送データを収集し分析することにより、今年度に実施した基礎的な資料と組み合わせて、本研究課題となる、GISを用いたシミュレーションと実際の搬送結果との比較、および救急病院の受付停止が地域住民のアクセシビリティに与える影響の評価を実施する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今年度は分析対象となる島根県の保健医療に関する統計データや空間基盤データの整備に力点を置いた。具体的には、平成25年度の分析で用いる、平成22年の島根県における町丁・大字別人口統計データの収集や、二次医療圏境界、国土数値情報をもとにした行政界、道路、救急医療機関などの空間基盤データの整備を行った。 当初の計画では平成25年の1~3月に、大田市消防をはじめとする消防署から、実際の患者搬送状況を示すデータを入手する予定であったが、このデータの入手が遅れているため、患者情報の電子地図上でのデータベース化が遅れている状況である。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度の進捗が遅れている原因である、実際の患者搬送データの入手を、島根大学や関連自治体の協力のもと、できるだけ早急に行う。 実際の患者搬送データの入手後、救急事例の発生場所、搬送先病院、覚知から現場到着までの時間、現場到着から搬送先までの時間、患者の疾患などについてデータベース化し、救急搬送の情報を地図化する。地図化した情報を用いて、実際の搬送時間によって地域を分類し(10分・30分・60分圏内等)、アクセス可能な時間帯ごとの人口割合を「救急搬送カバー率」とし、医療圏内における救急搬送のアクセシビリティを明らかにする。 その後、「救急搬送カバー率」を指標として、シミュレーションによる救急搬送アクセシビリティと実際の搬送によるアクセシビリティの差を求める。さらに、救急病院受付停止前後の年度(平成22年度)を境として、医療圏内の残された病院と隣接する医療圏への救急搬送の増減量を計算し、救急受付停止に伴う医療圏内の残された病院と隣接する医療圏への影響を推定することによりアクセシビリティの変化を評価する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
前述した実際の患者搬送状況の入手が遅れているため、搬送状況に関するデータベースを構築・保存するハードウェアー、ならびに、患者の住所情報を電子地図上に位置情報として返還するアドレスマッチング・ソフトの購入を今年度は行わなかった。したがって、物品購入や消耗品購入に関する研究費の今年度の執行が、当初計画と比較すると、大幅に下回ることになった。 したがって、次年度においては、実際の患者情報を入手次第、当初計画にもとづき、物品購入と消耗品購入の予算を執行する。また、実際の患者情報のデータベース化を行う際には、アルバイトを雇用することにより、データ・クリーニングの作業を遂行するため、人件費も当初の予算計画通り執行する予定である。
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Research Products
(1 results)